ブログや更新情報

 

2024年4月26日(金)

今月末をもって、このホームページを閉鎖することにいたしました。これまでご覧の皆様方、誠にありがとうございました。

2022年11月1日(火)12:30 晴れ
★大学入試共通テスト実施も2年目を迎え、昨年度以上にセンター試験から脱皮した問題設計になってます★ 
 皆さん、お久し振りです。何とまあ一年以上も放置していたこのサイト、再会しました。挨拶を兼ねて2022年度共通テスト国語現代文の小説解説をYouTubeにアップしております。というのもアップした動画を用いて25年ぶりに学校の教壇に立ち、80日後に迫った共通テストを受験する高校三年生諸氏を相手に、教科書読みとは全く異なる問題を解くための読解スキルを身に付けて貰おうとプレゼンを作成したものですから、この機会に一寸YouTubeにもアップするのも良いかと思った次第なのです。福岡市東部に位置するとても素晴らしい高校生ばかりである彼等と共に老境を迎えた小生も楽しい時間を過ごしています。今日は小説問題をアップしましたが、近日中に評論問題の解説プレゼンもアップ予定ですので、どうぞご覧ください。

2021年1月17日(日)12:30 曇り
★大学入試共通テスト元年です★
 昨日、共通テスト「国語」終了!各予備校の評価は概ね難度が高まったというが、大問1の論理的文章の出典は香川雅信著「江戸の妖怪革命」であり、2017年度北大評論もこの作品から出題されたので、本サイト「#西田の評論スキーマ講座」 でも詳細に解答・解説していたから、「このサイトを読んでた方は心理的にかなり有利だったろう」とTwitterでも呟いたように、今回の共通テスト評論問題も単純なふたつの二項対立軸で本文全体の論理構造を理解してしまえば決して難しくないと思う。かえって読み易い文章だったのではないか。

 ただ文学的文章でもそうだったが、複数素材を組合せて設問化する形式に不慣れであると難しく思ってしまうのは仕方がない。これもTwitterで呟いたが、小生が小説✕批評の組合せ問題2本を作って問題集に載せたので、これを解く経験があるような受験生は特に驚きもなく対応しただろう

 本サイトで繰り返し書いているように、入試で扱われる長さの文章で制限時間内で解答可能な問題を設計するためには、問題文は論理構造の骨格が二項対立の軸ふたつで構成される素材を使うしかないので、そのような論理構造をもつ文章だという観点から本文を演繹的に推論していかないといけない。予備校が指導するような小手先の読解術では初見の文章問題を制限内に読み解くのは難しいし、ましてや国立二次の記述式で現代文評論の全設問に解答していくのは時間的にほぼ不可能。東大合格者の再現答案を見ても評論文に限れば半分ほど得点できればマシな方で、彼らも暗記科目(失礼?)の古文・漢文で点を稼いでるに過ぎない。

 取り敢えず共通テストはもう終ってしまったのだから、二次記述の現代文問題では本サイトで身に付けた演繹的推論の力で本文全体の論理構造を迅速かつ俯瞰的に理解して納得のいく勝負をしてほしい。


2021年1月6日(水)18:30 曇り
★丑年ですね★
なんとまぁ、一ヶ月半もサボり続けたまま新年を迎えたこのサイト…。遅まきながら「明けましておめでとうございます…」と言うのも多少憚られてしまいますが。

沈みゆく船から逃げ出す鼠のように、コロナ禍に沈む日本からも子年が呆気なくも去ってしまいました。とはいえ、高校三年生には間もなく始まる初「共通テスト」に心も穏やかではないでしょう。でも国語に関していえば、所詮「読解力」勝負の選択客観問題ですから、あまり不安を抱かずに平常心で臨みましょう。


2020年10月22日(木)14:00 雨模様
★2020年度京大入試評論解析,やってます★
2020年京大評論問題小問一と小問二のプレゼンシート完成。解説加えてYouTube(西田の現代文)アップするのは、まだまだ先になりそう。

プレゼンシートだけはTwitter(「論理チャンネル@チャコ」ツィート済です。

2020年10月12日(月)08:25 小雨
★Twitter始めました★
パソコン音痴の僕がTwitterを始めるとは…。Twitterユーザー名は、
@toshi_chaco です。YouTubeにはチャコの特技をアップ。
現在、全国模試の来年度の問題を執筆しており、2020年度京大等の解説動画作りを中断中です・・・。

2020年9月28日(月)12:45晴天
★大学入試の現代文は小問一つに10分以内で解答するのが原則★
 旧帝大など国公立二次の記述式現代文問題は、大問一つに40分程度、小問(設問)一つは10分程度で解答するスピードが要求されます。これはかなりのスピードで本文を読みながら小問の記述一個を仕上げなければなりません。

 そのことを高校生にも実感してもらいたいと、YouTubeの大学入試編ではサクサクと(滑舌は悪いですが…)小問毎にそれぞれ約10分程度で解説している次第です。自分で聞いていても忙しない感じですが、どうぞご容赦を。

 今、抱えている仕事2本を終えたら、2020年京都大学評論問題の解説を予定しています。

2020年9月25日(金)20:15 小雨模
★コロナは小康状態?それでも遠隔授業…★
 大学は後期に入っても、暫くは遠隔授業で様子見の状態ですが、大学入試の評論も二項対立で組み上げられた論理であることを小中高のお子さんをお持ちのあ母さん方にも知ってもらおうと、「お母さんも必見!」というサムネイルでYouTubeに「西田の現代文」で検索できるようにアップしたところです。

 2020年の東大評論も、「平等VS不平等」「うち(個人)VSそと(社会環境)」という二項対立が2本のかなり易しい問題でしたから、小学生ぐらいの早い段階から「論理的な文章の正しい読み方」を子ども達の身に付けてもらえば、彼らがそのうち受験生になったら大学入試の評論文も簡単に思えてくるかしら、と期待も込めた動画です…。

2020年9月12日(土)10:30 雨のち晴れ
★2020年度(令和2年度)東大の国語第一問(評論)の最後の全体論理問題である設問(四)を、YouTubeにアップ完了しました★

「YouTube 西田の現代文」で検索できます!
 この問題の文章でも、「全体の論旨」を貫くのは「平等VS不平等」「個人(個人の内)VS社会(個人の外)」という ふたつの二項対立軸が交差する論理構造でした。
 

 他の大学で出題される現代文も基本的に同じ論理構造の文章ですけど、あとは枝葉(文章内でバラバラに見える文字情報)がどれだけ付くかの話だと、このサイトを長い間ご覧になっていらっしゃる高校生や先生方は既に皆ご存知ですね。 
 その枝葉(バラバラの文字情報)も、二項対立軸が交差する論理構造という幹を明確に構築されてないと、付ける幹がなくなるというわけです!  

 下のボタンをクリックすれば、東大ホームページ掲載の令和2年国語問題にジャンプできます。また、YouTubeで用いたプレゼンシートも、下に掲載しています。


今夜のチャコ:早く仕事切り上げて、遊んでくんないかなぁ…。

2020年9月8日(火)11:30 晴天
★2020年度(令和2年度)東大の国語第一問(評論)の設問(三)を、YouTubeにアップ完了しました★

「YouTube 西田の現代文」で検索できます。
 下のボタンをクリックすれば、東大ホームページ掲載の令和2年国語問題にジャンプできます。また、YouTubeで用いたプレゼンシートも、下に掲載しています。

2020年9月5日(土)19:00 強風
★2020年度(令和2年度)東大の国語第一問(評論)の設問(二)を、YouTubeにアップ完了しました★

「YouTube 西田の現代文」で検索できます!
下のボタンをクリックすれば、東大ホームページ掲載の令和2年国語問題にジャンプできます。また、YouTubeで用いたプレゼンシートも、下に掲載しています。

 

2020年9月2日(水)10:00 強風
★2020年度(令和2年度)東大の国語第一問の設問(一)のみ、YouTubeにアップ完了です★
 出典は小坂井敏晶氏の「『神の亡霊』6 近代の原罪」からですが、本サイトもパワーポイントを静止画像として用いてますが、YouTubeの動画ではアニメーションを使って説明してます。

本サイトのタイトルは「評論スキーマ」ですが、YouTubeでは「論理スキーマ」としています。二項対立の論理構造は評論のみならず、現代文一般の文章にも当てはまることですから、「論理スキーマ」とした次第です。「YouTube 西田の現代文」で検索できます。

下のボタンをクリックすれば、東大ホームページ掲載の令和2年国語問題にジャンプできます。また、YouTubeで用いたプレゼンシートも、下に掲載しています。

2020年8月9日(日)曇り
★YouTubeアップのための作業開始★
 コロナ禍のなか、東大の評論問題を久しぶりに読み込み始めたけど、過去10年ほどで論構造が複雑だった平成27年度の問題に比べると雲泥の差で易しい簡単な論理構造の文章になっていたとはビックリ(+_+)です。設問も「平等が不平等を生み出す」という大学入試現代文では定番中の定番「パラドックス」の説明がメインです…。

 この文章のプレゼンをこれから作り始めてYouTubeにアップしたいところですが、小生の現状はパワポを動画に加工する方法を昨日に理解したばかりのド素人ですから、アップまで時間がまだまだかかりそうです。

今夜のチャコ:いい加減、電気を消してくんないかなぁ…。

2020年8月2日(日)20:20 晴れ
★令和の過去問を用いて現代文記述式問題の解答解説をぼちぼち再開します…★
 コロナ禍の中、このブログも何やら伝言板代わりといった様相を呈しておりましたが、ぼちぼち令和以降の入試問題が気になり始めてきたので、主に高校生(国語が苦手な中学生も)対象として最新の現代文過去問を事例としながら文字情報の構造化スキルを獲得するための本編記事の更新に取り掛かります!!!

 これまで本編に掲載の各評論の論理構造図は、元々パワポのアニメーションを分散してJPEG画像処理してアップした静止画なので、今回、新たに制作するパワポのアニメーションはそのまま動画としてナレーション付きでYouTubeにアップしていく予定です。きっと、今の高校生にはその方が、演繹的な推論力アップのツールとして使い勝手が良いだろうと思った次第です。

2020年6月24日(水)19:30 晴れ
★詩は、わかりづらい…?教えづらい…?★
 講義の際は、パワーポイントで生徒同士の意見交換を交えながらとやり取りしながらアニメーションするよ。中学校で国語を教えているS君、今度、このパワポを添付で送りますね。

2020年6月24日(水)15:30 晴れ 
★前期★ これまでの素材文6本の構造と展開。

2020年6月24日(水)15:30 晴れ
 ★前期★ これまでの素材文6本の構造と展開。

2020年5月1日(金)16:11晴れ
★休校措置、いつまで続くのだろうか…★
 一か月前に、本県の感染者数が百名超え…などど書いてましたが、あれから一ヶ月後の今、五百人を超えるのも目前の状況となってしまっています。我が国の子供たちは毎日をどう過ごしているのか、本当に気がかりです…。
 
 因みに子供たちの学力については、学習や認知などその道の研究者の間でもデジタル機器活用が成績向上につながるという科学的データはなく、読解力や論理的思考力も所詮は活字を読み、手で書き、計算することでしか育まれないといわれています。

 だからというわけではありませんが、前回に紹介した固い?文章だけでなく、日本のいわゆる大家と呼ばれる小説家たちの優れた作品をこの休校措置中の合間に読むのも、中高生の皆さんにとって有意義な日々の過ごし方ではないでしょうか。

 白樺派を代表する作家志賀直哉が自らの処女作という「或る朝」から彼の唯一の長編「暗夜行路」に到るまで、志賀直哉本人の感性が小説の中の主人公を介して「不快」から「快」へのプロセスとして直接的に描かれているとした臼井吉見の書評を関連づけるような問題設計も、「共通テスト」などでは出題されることが予想されますし、彼の短編集などもこの機会にいくつか読んでみたらどうでしょうか。 

 我が家には犬がいるせいか、作中に犬が登場する作品には愛着を感じてしまうので、このブログでも以前、谷川俊太郎さんの「ネロ(犬の名)」という詩の話をしましたが、志賀の短編にも彼が愛犬家であったことがよくうかがえる「盲亀浮木-クマ (犬の名)」というお気に入りの作品があります。飼っていた雑種の犬に対する志賀直哉の愛情が行間に感じられ、また彼の私小説家としての面目躍如たる作品にもなっていますから、これもぜひ読んでほしい作品です。(ちくま日本文学「志賀直哉」短編集に所収)

今日のチャコ:仕事の邪魔をせずに一人遊びするも、それにも飽きている…。

2020年4月3日(火)晴れ
★休校と読書★
 
 本県もコロナ感染者数が百名を超え、中学や高校は3月からの休校が5月ゴールデンウィーク明けまで延長…。上級学校進学を目指す3年生は休校措置をどんな気持ちで迎えているのか、気がかりです…。

 そこで、こんな状況の中でこそ腰を据えて高校生に読んでほしい本を三冊選んでみました。
①岩波新書「女性にいない民主主義」東大政治学科准教授の前田健太郎著
 2009年9月発行以降、かなり売れてる本。そのため、来春の入試では評論文の出典として多くの大学で使われそうな気配。具体的事例や図表も多用されており、高校1,2年生でも読み易いので先ず最初に紹介。

② 現代思想2月号「量子コンピュータ」特集
 いずれの論考も最新の科学技術「量子コンピュータ」に関するものとして専門性が高いので、かなりのコンピュータ・オタクでないと読みこなせない???。ただ、河島茂生氏執筆の「未来技術の倫理」だけは読み易く、高校2年生レベルの読解力があれば十分に理解可能。そして、その内容は科学技術を中心とする現代社会を生きる人が持つべき視点のひとつとなってる。

③ 岩波新書「政治の精神」政治学者(元東大総長)の佐々木毅著
 2016年から施行された18歳以上選挙権での投票行動にも関連する興味深い内容も含まれ、京大や阪大のように現代政治に深く関わる話題で論理構造が骨太の文章を出すような大学を受験する高校生には必須の政治学入門書。

 この時期に以上のような論理性の高い文章を、じっくりと時間をかけて読んでおきましょう。

今日のチャコ:なぜかサクラに見とれている…。

2020年4月1日(水)21:50雨のち晴
新年度とサクラ
 チャコと散歩の途中にある桜並木のサクラの花も、今を見頃と満開に咲き誇りつつも例年のように華やいだ気分になれないのも、いまだに終息の気配のないコロナ禍の最中に眺めるせいか…。イタリアなどヨーロッパ各国の現況を他山の石とすることもなく、「正常性バイアス」に取り憑かれた日本の政治家たちの言動に、暗澹たる思いにかられてしまう。

 小生の勤める大学も来週から新年度最初の講義を行う予定が、二週間遅れの四月下旬に変更とのメール連絡がありました…。

今日のチャコ:仕事してる机の上で、うたた寝してます!

2020年3月30日(月)17:00曇り
★コロナウイルスと新年度★
「東京オリンピック2020」延期決定の後になって、政治家からは思い出したかのように都民への「首都封鎖」の発言。

2020年2月22日(土)13:30 雨のち晴天
★「ネロ」の詩での問題★
 一昨日に紹介した谷川俊太郎さんの詩「ネロ」に関して、哲学研究者としてヘーゲルを読む会を主宰している長谷川宏さんが「ネロ」の詩の内容や詩人の思いに寄り添いながら、「動物の死」を糸口に自分の思考を重ねていくエッセイを書かれています(詩人と哲学者のコラボとして朝日文庫『谷川俊太郎/長谷川宏「魂のみなもとへ 詩と哲学のデュオ」』と題された本の中に掲載)。

 そこで、来年実施の「共通テスト」の試行問題の特徴や傾向を踏まえた上での詩とエッセイを組み合わせたような問題設計は、「表現効果の評価」「表現技巧と構成」の問題が「共通テスト」でも引き続いて出題されていきますから、慣れておきましょう。

 室見川河畔ですが、その室見川に今年も福岡市に春の到来を知らせるシロウオ漁の網代が仕掛けられていました。

 そして、向こう岸に立ち並ぶマンション群の後ろに頭を覗かせているのは、愛宕神社で有名な愛宕山です。

2020年2月20日(木)20:30 晴天
★再び春の陽気の日に★
 三日前に初雪が観測された福岡は再び春の陽気。今日は市内にて感染経路不明の初コロナウイルス感染者が確認され、市内の学校で予定されていた研修会等が中止になり始めている…。受験生の皆さんに大きな影響が出ないことをただ祈るばかりです…。

 話は変わって、再び訪れた春の陽気に誘われて愛犬と散歩しながら、「ネロ」という谷川俊太郎さんの詩を思い出しました。「ネロ」とは谷川家の隣家で飼われていた二歳で死んだ犬の名ですが、その翌年の夏、まだ十代だった谷川さんは「ネロ」と題した詩を詠み、作者自らこの詩について季節への感動とともに「ぼくはぼくの愛していたものの死に向かって呼びかけていたのだ」と語っています。つまり、この詩には「ネロ」という動物の死がもたらした悲傷とともに、若い作者の生への期待と覚悟が対比的に詠み込まれているのです。

2020年2月14日(金)晴天13:15
★来年度実施「共通テスト」現代文の対策は?★

「共通テスト」国語の大きな特徴のひとつに、複数の素材文(非連続素材:図表等も含む)の内容を適切に関係づけるという問題設計があります。加えて、新学習指導要領で推奨するアクティブ・ラーニングの影響下、素材文や設問にも会話文(対談、討論、討議等も含む)の形式が多用される傾向も。

 そこで、ここしばらくブログで紹介していた『現代思想の総展望2020』現代思想1月号掲載の論考討議という二つの素材を用いて「共通テスト」対策用に、以下のような「複数素材を統合・分析する思考の力」を問う設問は、二つの素材文を統合する問題設計であり、このような問題を数多く解いて、共通テスト特有の問題設計にいち早く慣れていきましょう!

今日のチャコ:春のような陽気に誘われ、木洩れ日の中の散歩が楽しそう!

2020年2月8日(土)晴れ16:30
★センター試験から「共通テスト」へ★
 すったもんだの挙句に記述式大問は削除され、それ以外の大問四問マーク式によって試験時間もセンター試験と同じ80分に戻して実施ということが決まった「共通テスト」国語問題…。ただ、共通テスト試行問題としてこれまで検討・公表されてきた複数の素材文や非連続テキスト(図表など)を組み合わせ、設問に会話文を用いるなどの問題設計は踏襲されていくようです。

 最後のセンター試験問題から共通テストに向けて参考になる設問は、現代文だと表現効果や論展開・論構造を主に問う小問5小問6あたりですが、複数情報の適切な関係づけや評価・統合を行うといった高次の思考力を試そうとする共通テストの問題設計には、やはり「解答慣れ」が必要でしょう。

 因みに『現代思想1月号』の篠原氏VS斎藤氏の討議「ポスト資本主義と人新世」を読んだ高校生がおられたら、近々、共通テスト試行問題の最終設問であるマーク式「評価・統合」問題対策用に作成するつもりですから、一度チャレンジしてみてください。

今日のチャコ:我が家に来てから丸2年経過の2歳2ヶ月のトイプー(カメラ目線の女の子)


2020年2月5日(水)7:30 晴れ
 ★みなさん、おはようございます★

 本サイトも公開してから3年半経ちますが、振り返れば毎年5,6千人の高校生たち(一部、中高の先生方も含まれるようです)が新たにアクセスしてくれており、ぼちぼち掲載記事に新たな入試評論文を追加せんといかんかなぁ…と思う次第、来年は「共通テスト」も始まることだし…。

 そういえば昨日の日経朝刊を読んでいたところ、文部科学省の検討委員が文科省側の人間として共通テストから英語の民間利用と記述問題の排除となったことがよほど腹に据えかねたのか、「なぜだ!」と怒り心頭の心境を綴るついでに、「最適な入試、大学の責任で!」と憤怒の矛先を大学にも向けておられます。仰っている中身はいかにも尤もな事ですが、一番困惑しているのは子供たちですから…。

 さて、入試評論でもよく引用される「近代言語学の父」ソシュールは言語について「すべては対立として用いられた差異に過ぎず、対立が価値を生み出す」と対立的概念を示す記号としての言語の役割を語っているように、入試評論問題は二本の価値体系軸の交差する論理構造が問題設計の基本になっていますから、その意味では本サイトも読み込んでくれた高校生には役に立ってくれているのでしょう。国語教育にたずさわってきた小生としては、ありがたいことです。

2020年2月3日(月)22:15 晴れ
★気候変動と「天気の子」★

 前回、紹介した『現代思想1月号』の篠原氏VS斎藤氏の討議「ポスト資本主義と人新世」では今や地球的規模での気候変動にどう対するかが主題になっていますが、討議の中で篠原氏が引用しているのが2019年度の映画興行収入1位となった新海誠監督「天気の子」でした。

 この映画も急速な気候変動の影響下で雨が降り続ける東京を舞台にしていますが、それとは裏腹に現実世界のオーストラリアでは猛烈な森林火災が今も続いています。この大規模な森林火災も温暖化ガス排出による急激な温暖化という気候変動が背景にあるとされる一方で、そのオーストラリアが世界第三位の化石燃料輸出国として2019年12月COP25(第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議)で、国際地球温暖化対策に後ろ向きと認定された「化石賞」を国際NGOから贈られたというのもなかなかアイロニカルな話です…。
 
 その「化石賞」という不名誉な賞をもらったあと二つの国が「日本」と「ブラジル」であったというのは、高校生の皆さんでも既に知っている筈でしょうが、その日本で気候変動を主題の大きな柱のひとつに掲げた「天気の子」が大ヒットを飛ばしたというのも、さまざまな意味で実に興味深い現象のように思いましたが、みなさんはどうお考えでしょう?

 篠原氏VS斎藤氏の討議「ポスト資本主義と人新世」で、篠原氏がどんな理由で「天気の子」天野陽菜森嶋帆高を討議の中で取り上げたのか、読み解くのは面白いと思いますよ。

2020年1月29日(水)曇り時々晴れ18:55
★あれからは半年以上…★

 前回のブログから半年どころか7か月が経過し、既にセンター試験と称される代物も最期の日を迎え、来年度実施の「共通テスト」も、民活活用の英語も国語の記述式問題も消滅の憂き目に会い、まさに共通テスト狂騒曲とでも名付けられそうな世の昨今、置いてけぼりを喰らって損な役回りを演じさせられているのは、来年から共通テストを受ける高校生2年生を始めとした子どもたちで、子ども不在の教育論が跳梁跋扈する現状に辟易しながら、この数か月を過ごしておりました…。

★『現代思想の総展望2020』現代思想1月号★
 
 新年早々に手にして読んだ本がこれ。なかでも、篠原雅武氏(哲学/環境人文学)と斎藤幸平氏(社会思想)の「ポスト資本主義と人新世」というテーマでの討議と、小林卓也氏(哲学)の「人新世、気候変動、思想の終わり」と題された論考のふたつは高校生でも読み易く、現代思想の潮流や現代が抱える課題を知るのに必須の見解や用語を理解するに相応しい必読の内容だと思うし、自らの論理的思考の柔軟体操としても是非読んで頂きたい。篠原氏を始めとするこのお三方は時代を代表する新進気鋭の哲学者・思想家ですから読んで損はありません。

 論考「人新世、気候変動、思想の終わり」を読んだ後、討議「ポスト資本主義と人新世」を読むのが順序としてお勧めです。その方が、討議の展開や内容がスラスラ頭に入ってきますから。

 今年、まだ二次試験の評論が残っている人にとっては、前述したように「論理的思考の柔軟体操」ができるテーマと構成の文章ですよ。

2019年6月10日(月)曇り時々晴れ
通称「あじさい寺」(千光寺)です!

 久留米市にある「あじさい寺」に行ってきました。通称「あじさい寺」というのは龍護山千光寺という曹洞宗のお寺さんですが、建久3年(1192)に臨済宗開祖の栄西禅師(千光国師)を招いて創建し、応永27年(1420)除災のため、後小松天皇から「龍護山」の山号の勅額を賜ったといわれる名刹です。

 この時期には約7,000株のあじさいが咲き誇り、「あじさい寺」として親しまれており、つかの間の時間を紫陽花に囲まれて過ごしました。

2019年5月30日(木)晴れ
令和の話をしてから、もう一月…。

本年度は、東大を始めとして主な国立大学が国語入試の解答例を公表するとかで期待していましたが、蓋を開けるとまさに「出題の意図」のみしか出ていない…。
2019年5月1日(水)曇天
令和元年です!
本日から令和時代が始まり、昭和生まれの私は平成を挟んで三つの時代を生きたということです…。

心の中ではぼちぼち重い腰を上げて本サイトの更新をせねばせねばと焦りつつも、2月以降のこの3ヶ月程、2021年度(令和3年度)から始まる共通テストを踏まえ、ひたすら新傾向の現代文問題づくりに明け暮れる毎日でした。サイト更新もままならぬうちに時代は令和となってしまっていた、というのが実情です。

何はともあれ、本サイトをお読みいただいている皆さんが令和時代を幸せに過ごされることを、心から願っています。

2019年4月27日(土)晴天
『間もなく平成も終わり…』
2021年度から始まる「共通テスト」、四月から高1・高2になった人たちが受けることになりますね。

 現代文の問題も小問がほとんど部分的な文脈内での解釈中心の問いだったセンター入試から、すでにこれまで実施された試行問題でも明らかになったように、いずれの小問も本文全体を俯瞰的・構造的に読解した上で答を検討していく力が求められる問題へと大きく変わってきています。

 そのような学力を測る問題へと、旧帝大系の国立を中心に二次の記述問題は既に変わってきていますが、その傾向はますます顕著になっていきます。さらに、今年の入試では文部省の指導に従って正答例を示し始めましたから、その正答例に準じた記述がどのような読み方をすれば書けるかを本サイトで詳述していきます。

2019年2月19日(火)曇りのち晴れ
 『嬉しい出来事がありました!』
 昨日の昼過ぎ、いつもとは違う道をチャコを連れて散歩していた折、一年振りにバッタリとお会いしたご婦人Cさんから嬉しいお知らせを受けました。

 一昨年以来、所属する学会経由で現職の国語の先生から「読んでます、参考になります」というお手紙を頂いたことや、地元の高校にお子様を通わせておられる保護者の方からの評価を間接的に伝え聞いたことはありますが、なかなか本サイトへの評価を直接に耳にする機会のない僕にとって本サイトをやってて良かったなあ、と感激させられた出来事でした。

  もともとが、大学の入試問題を介して論理的な文章をしっかりと子供たちが読めるようになってもらいたいという思いで始めた本サイトの公開ですから、記述式の二次入試現代文において、本サイトが受験生の皆さんの役に立ってくれることを心から祈っています。

2019年2月13日(水)14:00曇り
 前回、お話しした昨年(平成30年度)の大阪大学二次評論(法・外国語・経済・人間科学部)大問Ⅰ『出典:自由の条件(猪木武徳)』」小問四の論理構造図を、下図のように示しておきます。

 従来は、共産主義国家は計画経済、民主主義国家は市場原理に基づく自由経済、というように、政治体制と経済体制を一体化させての「比較体制論」で済んでいた話が、共産党による一党独裁の政治体制(専制政治体制)のまま自由経済圏(自由経済体制)で大成功を収める「中国」が出現したものだから、「比較体制論」の枠組みが変更を余儀なくされている、ということですね。

 下図のように、本文の「政治・経済体制」の文言通りに「政治体制」を「共産主義VS民主主義」、「経済体制」を「自由経済(自由労働)VS計画経済(奴隷労働)」という二項対立軸の交差で示すと、小問四も非常に分かりやすいでしょう。

 一党独裁の中国が共産党主導の下に「改革開放」政策を推進して自由経済圏での大成功を収めた結果、共産主義=計画経済という考え方そのもの、もしくは計画経済そのものが「比較体制論」から消え去っています。

 つまり、「比較体制論」の現代的意味とは、政治・経済体制の長短を論ずる「比較体制論」の論議の枠組みが、自由経済と計画経済をそれぞれの属する政治体制と連動させて対比する構造から、同じ自由経済における二つの政治体制(一党独裁の政治体制と、自由と平等を標榜する民主主義的な政治体制)の優劣を対比する構造へと変容したことを答えれば良いのです。

 日経新聞を読んでる人なら、今、最もトピカルで常識的な話をこの問題文はしておりますから、大阪大学は常にタイムリーな評論を出題するなあと、毎年、感心させられます。

 ともあれ、評論は二項対立の軸でしっかりと構造化して読むことが肝要だという事です。


2019年2月10日(日)13:30 晴れ
 センターも終わって、間もなく平成31年度二次試験も始まります。インフルエンザが猛威を振るっていますが、皆さんも体調管理に気を付けて、貴重な時間を大切に過ごしましょう。

 今日は、博多から京都まで新幹線でおよそ三時間ほどかけて、2021年度以降の共通テストを始めとした批判的な思考力や評価・判断の力を問う問題の研修会に参加します。

 すでに大阪大学の国語問題(評論を主とする現代文)は、受験生の「既有の知識を踏まえた演繹的な推論の力」が測り得る良問を、この数年間、出題し続けています。

 昨年(平成30年度)の大阪大学二次評論(法・外国語・経済・人間科学部)大問Ⅰ『出典:自由の条件(猪木武徳)』」小問四も、民主主義と市場経済とが一体化した政治経済体制こそ、共産圏の国家統制による計画経済に勝利したとされていた歴史的解釈に、改革開放後の中国の経済的急成長によって共産党一党独裁という国家的な統制も市場経済と両立し得ることを世界に強く印象付けることで大きな変更や課題を迫っている、といった現状認識を踏まえてこそ完答できる問題でした。

 本文の内容をただ部分的に解釈するだけでは、受験生の評価・判断する批判的な思考力を問うようになり始めた記述には対応しきれてないということが、よくわかります。

 平成28年度大阪大学二次試験(法・外国語・経済・人間科学)でも、やはり同様に「受験生の既有の知識を問題文の内容に統合して評価させ、主に『批判的な思考力』を測る問題」を小問四(「変わる二次評論」で詳述)で出題していますので、部分的な解釈の積み重ねによる全体解釈に終始する東大評論問題よりも、大阪大学の問題の方が時代を先取りした問題だといえるでしょう。

2019年1月3日(木)10:15 晴れ
 正月三が日も今日で終わりますが、明けましておめでとうございます。正月の「正」には「改まる」という意味があり、年が改める月すなわち1月中すべての日を指したそうです。今では三が日のみを一般的に正月と言っておりますが…。

 取り敢えず三が日が終わる前にと、愛宕神社に愛犬の散歩がてら初詣に行って参りました。あまりの人込みに愛犬は体を震わせており、そそくさと参拝を終えてしまいましたので、普段から信仰心の薄い小生の願い事なぞ神様もよもやお聞きくださることもなかろうと思いつつ、愛宕山を下ってきた次第です。

 さて、あと二週間ほどで始まるセンター入試では受験生の皆さんの願いが叶って、この数年間の努力が実ることを心よりお祈りしています。

2018年12月8日(土)13:00 曇天
 いつの間にか師走を迎え、しばらく暖かい日が続きましたが、今週末から寒さも厳しくなってきましたね。我が家に来た頃は生後2ヶ月だった愛犬(左端の画像)も今や11月末で満一歳となり、散歩途上の川に飛来したオシドリを興味津々と見つめていました。

 受験生の皆さんも、2019年度センター試験もあと一ヶ月余りにまで迫ってきて、いよいよ追い込みの最中ですね。インフルエンザも含めて風邪など引かぬように体調管理にも気を付けましょう!


2018年11月17日(土)16:00 晴れ
 先週の土曜日に2020年実施予定の共通テストの試行問題が実施されました。

 私もその思考問題の分析のようなものをしましたが、現在、高校1年生の皆さんや先生方も、その問題には大きな関心を持っておられると思いますので、次回にでも大問一の記述問題に関する話を簡単な図を用いながら、取り急ぎアップしたいと思っております。

 因みに、下の画像は今年の2月に拙宅に生後2ヶ月でやって来ましたトイプードルです。世話はすべて私がやっております…。


2018年10月13日(土)16:30 晴天
 本日はまさに秋晴れ、前回の日付を見れば「光陰矢の如し」、本サイトは相変わらず、更新もせずにサボりっ放しになっており、反省しきり…。

 昨年度辺りから本県の各高校が行う定期考査においても、生徒の思考・判断・表現を問う問題作りへ移行しようという動きが各教科で始まっていますが、これも、言わばPISA(OECD実施の学習到達度調査テスト)で言うところの「熟考・評価」の範疇に入る思考力を、学校教育の中でも育成することを目指したものです。

 そのような試みはまだ始まったばかりですから、実際のテスト問題を見ると、設問の体裁は非連続の図表を示したり会話文を取り入れたりと工夫されておりますが、実際のところは、テキストである素材文自体を正しく理解しているかどうかを問う問題にとどまっているのが現状のようです。

2018年8月29日(水)17:10 晴天
 今年の夏はなんと暑かったことでしょうか。というか、今も暑い毎日が続いていますが…。

 ところで、前回のブログ記事からひと月余り経過しており、サイトの内容更新もしない自分に呆れております。ぼちぼち新しい素材(といっても、30年度の入試問題評論文)でスキーマ練習ができるようにしないといけませんねぇ…。

2018年7月27日(金)10:15 晴天
「変わる二次評論」ページの冒頭箇所に新たな解説・図を追加!
 数年前、ある出版社の国語編集者に新しい傾向のテスト問題に関する講義を行った際に用いたプレゼン資料2枚を説明を加えて追加してます。

 これまでの入試問題や民間会社実施の模擬試験など従来型の問題が主に問題文の部分的な解釈問題中心であった(図中では、タイプ①とタイプ②)のですが、今後は高次の論理的思考力(国際学力調査、いわゆるPISAにおけるテスト分類では「熟考・評価」型問題で測定する学力のことです)の測定問題(図中では、タイプ③)に変わっていくことを、国語編集者に視覚的に分かりやすく理解してもらうために作成したものです。

 今後の入試問題では、共通テストも二次記述も素材文自体の解釈であるテキストベースの学力から、素材自体には明示されていない情報である状況モデルを推論する高次の思考力を問う問題へとシフトしていきます。


2018年7月25日(水)11:22 晴天
 先週で大学での講義も終わり、前期の成績出しも完了して一息ついています。2ヵ月ぶりにブログを書こうとして、久しぶりに本サイトのアクセス解析を覗いて見ると、この2ヶ月の間もサイトを訪問・閲覧して下さる方々が毎日沢山いらっしゃることを知り、安心というか嬉しいというか、熱心に見ていて下さる方々に誠に感謝です。

 国立国語研究所で日本語教育研究を専門とされる石黒圭さんの著書に「文章予測」(角川ソフィア文庫)という本がありますが、その中で文章理解では「ありそうもない展開の可能性を除き、つぎの話の展開の方向性を絞る働き」が求められると述べています。この本に中で扱われている文章は入試問題の素材になる文章ではありませんが…。

 本サイトで解説している入試問題では必ず論理的な思考力が求められており、また、その答も2項対立軸を核とする論理構造ですから、石黒さんが著書中で言う「予測の幅」(ある一つの文がどのくらい予測させる力を持っているかという予測の広がり)は、入試問題では「対称語・対立語」を起点とした「2つの対立した概念」を予想させる力と言い換えることができます。

 評論を中心とする大学入試の国語問題では、その「2つの対立した概念」構造、つまり「2項対立軸」を基本的な骨格とした「評論スキーマ」が、入試問題を解くときにはどうしても必要となる演繹的推論(情報のトップダウン処理)の基盤になるのです。

 そのことを、受験指導をされている現場の先生方や高校生自身も実感しておられるからこそ、このサイトも開設以来2年近くの間、今も変わらずに多くの方々にご覧いただいているのだろうと思います。

 大学入試ではは高次の思考力を測る指針となる演繹的な推論の力を問題で試そうとしています。言い換えれば、入試問題の内容を「予測しながら読む」ための基盤となる演繹的推論、その推論の前提となる「評論スキーマ」を子どもたちが身に付ける必要性があると思っています。

 本サイトがこの2年近くの間に閲覧数が2万件を超えて、今も絶えることなくサイト訪問の方が増え続けているのは、これまで述べてきたことをご覧の皆さんがたぶん身をもって実感しておられるからだと思います。

 さて、ほとんどの学校は夏休みに入りました。学期中より少しは余裕のできるこの時期に、ぜひとも本サイトを改めて集中的に読んでいただきながら「評論スキーマ」を理解し、入試問題解答で求められる「演繹的推論」の力をさらに磨いてほしいと願って止みません。


2018年5月7日(月)13:15 雨
 ゴールデン・ウィーク明けの月曜日。学校もいつものような授業の日々が始まりました。といっても、一部の恵まれた労働環境に身を置く方々のように、ゴールデン・ウィークを十分に満喫された先生や高校生は、学校現場にはそう多くはなかったかも知れませんね。

 さて、東大と京大の評論問題の解説解答、いかがでしたでしょうか。両大学とも論理構造が「評論スキーマ」として明確化してきており、論拠となる具体的な例も分かりやすいものを示していく傾向が垣間見えてきたと思います。ただし、論理構造をうまく構築化して読み進めないと、素材文の読み易さが各小問の答え易さにそのまま直結していかないところが、両大学の評論問題の面白いところです。

 
2018年4月29日(日)22:30 晴天
 いよいよゴールデン・ウィーク到来です。とはいえ、部活動をしている高校生やその正顧問をされている一部の先生方にとっては全く無縁な話のようです。

 僕の親しくしている先生は今日の「昭和の日」もその振替休日である明日も、朝の8時半から午後2時過ぎまで学校で部活動の指導とのことでした。高校の部活動正顧問の方々にとっては「ゴールデン・ウィーク」という文言は、相変わらず全くの戯言でしかないんですねぇ。

 因みに、経済協力開発機構(OECD)加盟国の教育に関する調査結果によると、日本の公立の小学校から高校までの教員の労働時間は最も長いレベルだったのに対し、労働時間のうち授業にあてる割合は最も低いレベルになっています。

 
 「やりがい搾取」という表現、皆さんもご承知のように2007年前後から東京大学教授の本田由紀氏(教育社会学者)が組織的に行われる一定の搾取構造を「やりがい搾取」と名づけて使いだしたものですが、被雇用者(例えば、学校の先生)がすすんで仕事にのめり込み、充実感や自己実現を得ているように見えていても、実際には経営者側(例えば、県教委や学校管理職)がより少ない対価(雇用の安定性、賃金)で最大の労働効率を引き出すための巧妙なからくりのことだそうです。

 「ブラック部活」や「やりがい搾取」とは言い得て妙のネーミングだと、昨夜から始まった学校現場を舞台とするNHK土曜ドラマ『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』の中の科白でもこれらの表現が使われているのを観ながら20年ほど前の自分を思い出しつつ、「なるほどなあ」と改めて実感した次第でした…。

 今年の京大評論問四の正解『人の経験において生起される無限の連続性を帯びた内的な心情の世界に一つの言葉が与えられた時、人はその言葉が強いる一定の行為や心理を生きていくということ』に通じるものがあります。

2018年4月24日(火)10:00 雨
 今日は朝から雨、三寒四温の言葉通り、暖かいというより初夏の暑さが続いたかと思うと今日のように肌寒い日がやってくるといった木の芽時です。

 4月という年度初めは高校生の皆さんも何かと心改まる時期でしょうが、警察庁の調査によると自転車乗用中の事故の死傷者数は高校一年生が突出して最も高いそうです。それを月別で見ると5月6月が目立って多く、他の月の1.4倍だそうです。

 4月当初の高校入学直後の緊張感が薄れて、その結果、5月6月に事故が多発するという解説がJAFの雑誌にも掲載されていました。せっかく始まったばかりの高校生活です。交通事故などに遭遇することなく、安全な毎日を送りながら部活や勉学に励んでもらいたいと望むばかりです。

 市内の或る高校では、明日は学校から植物園まで一年生総勢400人で体験的行事、簡単に言えば遠足ですが、市内中心部の交通量の多い道路をそれだけの生徒が歩いていくというのも、引率の先生方の苦労は大変だろうと思ってしまいます。

 さて、本サイトも始めてからほぼ一年と六か月が経過しましたが、ご覧になって頂いている方のお顔も拝見できないままですが、今も一定の方々がおられるのは閲覧数などから分かりますので、少しはお役になっているようです。

 近年の入試問題もいわゆる本文の部分的な解釈を中心とする問題から、本文に示された言語情報の構造化を図ることで全体の論理構造を構築する能力を問う設問へと移行してきています(その点で私学の入試問題は相変わらず立ち遅れたままですが…)。

 今年の東大京大を始めとする評論記述式問題のように、二項対立の軸を複数の事例を根拠としながら明らかにさせていくという傾向はこれからますます加速すると考えられます。

 したがって、評論文を読む際には論理的な文章がどのような構造をそもそも持っているのかということを、事前にスキーマとしてしっかりと理解していることが求められていきます。

 本サイトは、高校生の皆さんのみならず、学校の先生方もご覧いただいておりますので、是非とも先生方にも現代文の授業での受験指導などに役立ててください。

2018年4月12日(木)11:11 晴れ
 晴天にも恵まれて、ご近所の小学校では入学式が行われていました。良い友だちと良い先生との出会いがあれが良いですね。
高校生になっても先生との出会いが、学力や人間性を高めという意味でとても大きな意味を持ちますからね。

 それにしても、高校では部活のお世話をする先生方は特に大変です。僕の知っている先生も部員が100名を毎年優に超える部活を担当しておられ、月150時間以上の時間外勤務は当たり前の日々が常態化しています。

2018年4月8日(日)23:32 晴れ
平成30年度京都大学二次前期 評論問題(文理共通)、大問一の小問一~五の解説解答、ほぼ全面改訂完了です!

何とか人にも読んでいただけるような修正版までこぎ着けました。

論理構造図をアニメーション入りのパワーポイントで見てもらいながら口頭で説明すれば、今回の京大の問題解説も30分ほどで終わるものを、やはり文章化するっていうのはなかなか大変です。

本文にも書きましたが、小問五も論理構造図を見ながらだと、「言葉のこころ」から「人間のこころ」に向かう矢印では不十分な意味論であり、「人間のこころ」から「言葉のこころ」に向かう矢印があってこそ人間主体の意味論になるのだから、と簡単に答を言ってしまえば終わりなんですが…。

取り敢えず、今週の水曜日から大学の講義も始まるので、しばらくの間は、日々、心に浮かぶ雑感でもブログに書く程度にしようかと思っています。

2018年4月8日(日)01:30 曇り
平成30年度京都大学二次前期 評論問題(文理共通)、大問一の小問一~五の解説解答、ただいま修整中!
 読み直してみたら相当な悪文で自分でも読みづらい解説・解答になってます。で、ただいま修整しています。既に読まれた方は、後日、読み直していただくと有り難い!

2018年4月7日(土)02:15 曇り
平成30年度京都大学二次前期 評論問題(文理共通)、大問一の小問一~五の解説完了(ただし、五のみ正答はまだです)。

 昨日(4月6日)は、ご近所の高校の始業式でした。新たに高3になった諸君は最後の高校一年間を楽しく、かつ有意義に過ごしてください。

 今年の東大や京大の評論文の傾向を見てみると、両大学に共通している傾向は具体的事例が多く挿入されていること、二項対立軸がよりはっきりと明示されている素材文となっていること、の2点でした。

 簡単に言えば読み易くなっているのですが、その分、二項対立軸が交差する形でしっかりと全体の論理構造を俯瞰して読んでいないと、各小問毎の設問意図の違いを見失ってしまいますから要注意です。

2018年4月5日(木)01:20 曇り
平成30年度京都大学二次前期 評論問題(文理)、大問一の小問二・三の解説完了。

 ノンビリと時間をかけてやっているせいで、やっと小問二・三の解説が終わりました。その間に小問(1)解説の修正もやってますから、なかなか小問(5)まで辿り着きません。

 まあ、年度の変わり目は閲覧する高校生も少なくなるので、急ぐ必要はありませんね。日付も変わりましたので、解説執筆も店仕舞いします。

2018年4月1日(日)11:58 晴れ
平成30年度京都大学二次前期 評論問題(文理)、大問一の小問一の解説完了。
 
 今年は東大も京都も具体的事例をたくさん挿入し、同じ論理構造の骨格を繰り返し反復させたた読み易い素材でした。その分、しっかりと各形式段落毎の論理構造の微妙な異同を明確にしていくことが大切です。

2018年3月29日(金)20:05 晴れ
平成30年度京都大学二次前期 評論問題(文理)、全体の論理構造!

 本文は人間のこころ(心的活動)と言葉の意味との関係を論じた内容でしたが、全体の論理構造を次のように簡潔な図にしてみました。 

 まず形式段落①~④では、言葉を用いる人間を「言語主体」と表現しているので、言葉(言語)を「主体」に対する「客体」として「主体(人間)VS客体(言葉)」という二項対立軸を設定しています。

 形式段落⑤~⑦では、言葉(言語)が人間にもたらす「意味」によって、無限な連続もしくは混沌としたカオスの状態である「自然界・感情・心理」が有限な枠内の秩序あるつコスモスとなっていくという論旨に沿って、「無限性(混沌など)VS有限性(秩序など)」の二項対立軸を設定しています。

 また、 形式段落⑤ではスペクトルの事例スタンダール『赤と黒』形式段落⑥ベンジャミン・リー・ウォーフの考え形式段落⑦フランス映画『泣きぬれた天使』をそれぞれ引用しながら、「主体(人間)VS客体(言葉)」「無限性(混沌など)VS有限性(秩序など)」との2軸が交差する論理構造が何度も繰り返されて、人間と言葉の関係が語られていきます。

 形式段落⑧・⑨では、言葉(言語)によって外界内界に「意味」をもたらされる側の「人間のこころ」の方が、言葉(言語)に対してその「意味の変化」を促しているという内容が語られていきます。

  平成30年度の京大評論は東大評論もそうでしたが、複数の具体的な事例を示しながら二項対立軸が交差した同じ論理構造を何度も繰り返すというものでした。小問解説はこれから作成していく予定です。

2018年3月26日(月)13:00 晴れ
平成30年度東京大学評論、誤字等修正!
先週の木金、東京でB教育総合研究所のDOUKA先生から「誤字があるよ!」と指摘されたので、もう一度読み直しながら誤字脱字、重複、消し忘れなど探しながら、修正してました。

今日は天気も良くて、まさに花見日和です。そろそろ京都大学評論のプレゼン作りますかな。

2018年3月20日(火)13:10 雨
春先は天候不順な日々が続きますね。明後日から東京ですが、東大の入試問題の件で議論できるのを楽しみに上京します。明日も大荒れの天気のようですが、東京では少しでも晴れ間が見たいものです。

今日から京都大学の問題分析や論理構造図作成の準備を始める予定です。アップ次第にまたご覧ください。

2018年3月18日(日)15:20 雨
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の解説・解答の後に「問題を振り返ろう!」を追加しました。

「問題を振り返ろう!」の内容は次の通り。
小問(一)(二)では、知覚できない不在性という特徴をもった素粒子が、思考の働きによる理論の手続きと一体化してその実在性が明らかになるという論理的構造が構築されています。
小問(三)では、歴史学が語るのは知覚できない過去の具体的な事物ではなく、思考の働きによ構成される抽象的概念であるという内容が論理が主張されてます。
小問(一)~(三)を解答することで明らかになった、全体の論旨の骨格である「不在性VS実在性」と「知覚(具体)VS思考(抽象)」の交差する論理構造を踏まえ、小問(四)では傍線部エ中の「フィクション」(=虚構もしくは根拠のない架空の出来事)という語を手がかりにした答案作りをすることとなります。

 以上、平成30年度東大評論問題は小問を(一)から(三)へ順に解いていくことで(四)の全体問題へとたどり着くといった東大らしい従来通りの設問構成となっていました。

 今回の評論文は同じような論理構造を各形式段落で繰り返していますので、語句の類似性や対称性を土台にしながら「評論スキーマ」を前提にした演繹的推論によって論理的な二項対立軸を確定していけば、読み易くかつ解き易い評論問題となっていましたね。


2018年3月17日(土)22:18 晴れ
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の解説・解答を完了!

 今日も論理構造図のほとんどを一部修正してアップし直しでした。読んで分かりやすい文章を心がけていますが、何度読んでも表現が気に入らなかったり意味がうまく伝えられない文章なのではと思ったりで…。

 取り敢えず、これでこの解説・解答は終わりにしますが、後日、修正した際にはまたお知らせします。

2018年3月16日(金)12:45 雨のち曇り
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の小問(三)の正答例まで完了しました。

 これまでの解説の内容を読み直してみると、「全体の論理構造」が「全体の論旨構造」になっていたり、●形式段落④・⑤の解説では「形式段落④」が「形式段落③」になっていたりと、いくつかの誤記がありました。これからも自分で気づいた分は修正しますが、見逃した誤記等にお気づきになられた方はご一報ください。

これから小問(四)の解説を書き始めます…。

2018年3月15日(木)23:55 雨
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の小問(三)の解説のみ、取りあえず終えました…。
 日付が変わりそうなので、小問(三)の正答例は、明日にまわします。
 今日の花粉の飛散はすごかったのでしょうか、まさに目も鼻も花粉まみれのような一日でした。

2018年3月15日(木)12:15 曇り
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の小問(一)・(二)の解説、取りあえず終えました。

2018年3月15日(木)00:55 やや曇り
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の小問毎の解説・解答、少しずつ進めてますが…。
 日付が変わってしまったので、今日は小問(二)の途中で眠くなってきました。おやすみなさい。

2018年3月14日(水)17:30 晴れ
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の全体論理構造の解説完了!
 全体論理構造の解説、書いている途中で何度もアップしては書き損じた箇所を修正していましたので、今日の最終稿を改めて読み直してください。これから小問ごとの解説を書きます。

2018年3月11日(日)00:10 晴れ
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の解説を書き始めました!
 日付も変わったので、解説の途中ですが、終わって寝ます。

2018年3月10日(土)16:15 晴れ
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の全体論理構造図を作成しました!

 形式段落①から最終の形式段落⑦まで同じ論理構造が連続して維持されていることが、この文章の読み易さになっています。ただ、この論理構造図では縦軸にしている「知覚 VS 思考」をしっかり理解していないと全体論理構造を記述させる小問(四)にはうまく対応できません。

★次の図は、全体論理構造図のうちで各小問に該当する箇所を楕円で囲ったものです。

2018年3月10日(日)00:50 晴れ
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の論理構造図:後半を作成!

傍線部にある「フィクション」の意味に言及すべき全体論理構造記述問題の問(四)を含む後半の構造図です。取り急ぎ、ブログにアップしました。明日(今日?)以降、解説に取り組もうか…。


2018年3月9日(金)20:45 曇り
平成30年度東京大学二次試験(前期)国語大問一評論の論理構造図:前半を作成!

今年の評論の読み易さ、驚きました。前半は「不在性(実在性のないもの)VS実在性」という軸を中心に語られています。つまり、形式段落①から形式段落④までが一つの軸しかないかの如くに何度も繰り返されて論が展開しているのが読み易さに繋がっているのでしょう。

小問(一)・(二)の二つとも、歴史的過去を実在性あるものにするために必要な作業とは何かを説明するために、取り上げられている素粒子の事例の中で作問されています。

図中にも記していますが、本文全体の内容は知覚的に「不在なもの」を意味的な「実在性」へと変容させる「人間の思考(理論・物語り)」であり、後半になって「知覚VS思考」というもうひとつの軸が明示されてきます。つまり、前半では「一連の理論的手続き」に該当するのが「思考」という表現として明らかにされていくのです。

後半は明日から作業に入ります。

2018年3月7日(水)11:32 曇り
国公立大学前期の合格発表始まる!
全国の国公立大学の前期日程、今週から合否の発表が始まりましたね。皆さんの結果はどうだったのでしょう。私のように国語教育に関わる人間にとって現代文で点を稼いでいてほしいと思います。

今回の論理構造がどう組み立てられているから易しく読めたのかについて、これからまた、解説と解答を掲載していく予定です。

それにしても、昔、高校で教えていた頃を忘れない身として、あり得ない話と分かってはいますけれど、受験生である高校生の皆さん全員が無事に第一志望の大学に合格していればと考えてしまいます。

2018年2月23日(金)22:07 晴れ
あさって25日(日)から全国の国立大学一般入試!

いよいよ始まりますね、国立大学の一般入試が。僕も明日と明後日は東京出張です。

前回、述べた京大の大問二における小問三と小問五も設問が重複しているようで、実は「個(限定化・特殊化)VS全体(一般化・普遍化)」という二項対立の軸を論理を組み立てる骨格とすることで、小問三「個人の読みの違い」から小問五「時代的・歴史的な読みの変化」へと展開していったのですから。

2018年2月19日(火)10:30 曇りのち晴れ
平成29年度京都大学二次試験国語問題大問二 評論の解説・解答の後のコラム(問題を振り返ろう!)に補足しました。

補足した内容は以下の内容ですが、これで小問三と小問五の設問の意図の違いが、もっとはっきりするでしょう。

★小問三と小問五の重複と異同について
本文に波線を引いて、小問三における自己の時間の流れに沿う通時的な読みの変容の軸と、自他の同じ時間における共時的な読みの違いの軸との交叉、つまり「二項対立軸の交差する論理構造」をもった「ポジティブな読みのあり方 」に、学問の硬直化を招くような「ネガティブな読みのあり方」を対立させるという本文全体の論理構造問題を改めて設定していることが理解できれば、小問五の記述問題に十分に対応できます。
さらに、小問三ではある個人に特定した観点から「二項対立軸の交差する論理構造」を論じていますが、この「二項対立軸の交差する論理構造」は、小問五では小問三における特定の個人があらゆる人々へと敷衍されて、個人はある場合は「自己」であると同時に「他者」ともなり、こうして人々の読みが相互に複雑に絡み合いながら「読みの歴史的変化」を生み出すという時代的な普遍性を帯びていくと筆者は述べています。
そのことが、本文では形式段落⑤の冒頭文「こうした過程が曖昧に入りくみ~時代的変化を生み出してゆく」や同じ段落の第2文目「時代に挿入されて生きる個人間の諸関係の網の目が織りあげる模様」という比喩的な表現で示されているのです。

さて、国公立の入試まであと一週間を切りましたね。いよいよ皆さんの力を発揮する時がやってきます。体調万全に当日に臨みましょう。

2018年2月13日(火)23:25 晴れ
平成29年度京都大学二次試験国語問題大問二 評論の解説・解答の後にコラム(問題を振り返ろう!)を追加しました。

コラムの主な内容は以下です。

★最終小問での「全体を踏まえた」設問とは?
 筆者が自らの主張の正当性を訴えるためにどのような論理を本文全体で構築しているかを問うことで、読み手の論理的思考や批判的思考の力を測る。
 これは、センター入試の評論の最終小問で問われるような冒頭の段落から最終の段落までの論理の流れや主張の内容そのものを問題とは大きく異なる。
 
★全体の論理構造を俯瞰的に見極めようとする視点とは?
 全体の論理構造を問う最終小問へ辿り着くまでに各小問を解答している間も、常に本文全体を貫く大きな「価値体系軸」を見極めようとする意識を持つこと。

★今回の京都大学「大問二」評論(文系用)では?
 本文に波線を引き、小問三「二項対立軸の交差する論理構造」をもった「ポジティブな読みのあり方」に、学問の硬直化を招くような「ネガティブな読みのあり方」を対立させるという本文全体の論理構造問題を改めて設定していることが理解できれば、小問五の記述問題に十分に対応できる。

以上です。

2018年2月9日(金)14:45 晴れ
平成29年度京都大学二次試験国語問題大問二評論の全体問題である小問五の答に別案を追加しました。

小問五に別案の答を以下のように追加しました。
正答別案:歴史的な作品理解の変化は同時代を生きる他者との読みの違いを弁証法的に統合して変化する個々人の読みの経験が時間の連続性の中で相互に関連して生成されるが、その生成の過程にとって一過性の知識や観察、また個人的な主観などに依拠する恣意的な読み方は意味をもたないということ。(132文字)

小問五に二つの答(両者とも同じ主旨、同じ全体の論理構造を表現をやや変えながら書いたもの)を出して、この設問の求める本文全体の論理構造を答にどう表現するかを、よりはっきりと理解してもらいたいと願っています。

いつも言っておりますが、国公立大学の二次記述式現代文問題を解こうとする受験生にとっては、本サイトで選んだ問題はいずれも一読して、論理的な文章の読解に必要な「スキーマ」の理解と習熟をさらに進めてほしいとも思っております。

さて、前回も書きましたが、受験生諸君、インフルエンザに罹患することなく、本番まで体調万全に頑張ってください!!!

2018年2月9日(金)00:30 曇り
平成29年度京都大学二次試験国語問題大問二 評論の解説・解答が終わりました!

今回はほぼ一ヶ月かかりました、文科省提出のシラバス作成をやっていたり、来年度の講義内容の修正をしていたりとするうちに、ついつい怠けてしまっていました…。

図も文も何度も修正に修正を加えながら、取り敢えず終わらせましたので、これまでのアップの途中でご覧になっていた方は、最初から読み直してください。冒頭から最後まで、更新するたびに気に入らない表現や分かりづらい箇所は変えに変えてしまい、今日を迎えてしまいました。

ところで、あと2、3週間もすると国公立二次試験が始まってしまいますね。国語の記述問題、特に現代文は焦らず冷静に、本文の論理構造を評論スキーマで培った読解力で読み解いてもらいたいと思っています。高校3年生を始めとする受験生の皆さん、あと少しの間、頑張り続けましょう。

2018年1月29日(月)12:45 曇り
関東は大雪!
先週の木金は東京に居ましたが、多摩センターの辺りはマイナス4度で積雪も20センチ越え。地方の都市部ではなかなか経験できない寒さでした。この日本中を覆うこの寒波はまだまだ続きそうですから、いよいよ国立二次試験に向けて最後の追い込みを迎えている受験生は体調管理に十分気をつけないといけませんね。

2018年1月22日(月)10:15 雨
京都大学の素材文は基本的な論理的思考力を養うのに最適!

平成29年度京都大学二次の「大問二」評論(文系用) 出典は西郷信綱『古事記注釈』)です。

論理の骨格を成す横軸の「自他の読みの違い」が時間の流れに沿って過去から現在へと動きながら「個人の読み」に交差し関与していくから、縦軸の「個人の読みの変化」は時代性や歴史性を帯びていくのだというのが、本文の胆となる主張となっています。

京都大学で出題される現代文は質の高さで昔から定評がありますが、今回も論理の骨格を成す縦軸に対して、横軸が縦軸に交差したままに過去から現在へと動いていくという点がこの評論の実に興味深いところで、このように動的でユニークな論理構造の素材をよくぞ探してきたなぁ、さすが京大と思った次第です。その横軸が時間的に移行していく様相は本文の形式段落四ではっきりと示されています。

京都大学の現代文素材は、毎年のように論理の構造がしっかりとしていて読み応えがあり、受験生の論理的な思考力を確実に測定できるものばかりなので、他のどこの大学を受験する人も必ず一度は目を通して、現代文を読み解くのに必要な力を養うようにしてほしいと思います。

2018年1月22日(月)01:13 真夜中で外は漆黒の闇
気付けばもう、二次出願の時期‼随分とサイトの更新をさぼってました…

平成29年度 京都大学二次試験国語問題 大問二 評論(文系用)の全体の論理構造、後半を全て書き直し、これから徐々に小問解説をアップします。

センターもあっけなく終わってしまい、受験生の皆さんは二次試験の出願を済ませる頃ですね。真夜中のような今の時間ですが、大半の受験生はまだまだ起きて二次対策の勉強中でしょう。明日(今日?)から全国的に寒さが厳しくなるそうですから、インフルエンザに警戒しながら、ぜひ受験の当日まで体調万全に頑張ってください。


2017年12月1日(金)19:05 晴れ時々曇り
平成29年度 京都大学二次試験国語問題 大問二 評論の全体論理構造ができました。
小問の解説は、明日以降に始めたいと思います。形式段落④と⑤での個人の読みにおける通時性の縦軸自他の読みの違いという共時性の横軸が交差するという内容が、この評論の論理構造の中心的骨格となっています。

今日から師走、高校3年生のみなさん、受験生として追い込みに入っている頃ですね。風邪など引くことなく、体調万全に過ごしてください。

2017年11月28日(火)00:47 晴れ
平成29年度 京都大学二次試験国語問題 大問二 評論の解答解説始めます!
文科の問題で出典は西郷信綱氏の『古事記注釈』です。取り急ぎ、下図のように全体の論理構造(前半)のみ作成しておりますが、後半を作成次第に解答解説をアップします。前半は「通時性(下図では現在「時間軸」としています)」を縦軸、後半からは「共時性」の横軸が加わる予定です。

2017年11月24日(金)12:10 曇り
数十年ぶりに訪れた母校
 
 画像では運動場を囲む鬱蒼とした木立(私の在学中はちっぼけな幼木でした)の向こうに霞んだ桜島がかすかに見えていますが、当時、もっと広々としていた運動場を横切ってフェンスを乗り越えて100mほどで錦江湾の浜辺に辿り着き、湾を挟んだ向う側で噴煙を上げながら雄大に聳える桜島を前に、防波堤に寝そべりながら読みかけの小説でしばし時間をつぶしては寮に戻ってくる…そんな日々の高校時代でした。  


2017年11月3日(金)22:30 晴れ
今日は「文化の日」
 下の図(プレゼン資料)は、3年ほど前に教育関連企業に勤める国語編集者を対象に行った説明会で用いたものの一つです。国公立二次入試を中心にした現代文記述問題がこれからどう変わっていくかというテーマで話をさせてもらいました。

 この図だけでは高校生の皆さんには難しいかもしれませんが、要は、評論や随筆といった文章で問われる学力がこれまでのタイプから変わっていきますよ、という話をしています。

 本年度(平成29年度)も非常に読みやすく解きやすかった東京大学二次文科の現代文「大問四」の随筆問題小問(四)は、同じく本年度の京都大学「大問一」随筆問題同様に高校生の現代文読解の入門として扱えるレベルでしたし、現代文の入門的な学習としても最適な問題でした。

 ただし、従来のテストのような本要約や語彙の置き換え、辞書的意味への変換といったこれまでの解答の仕方は通用しないのも同じです。現在の大学入試が求めている学力は、推論する力や抽象化・一般化しながら論理構造を明らかにする力、つまり、論理的で汎用的な高い思考力です。(下図:テーマ「入試で問われる学力が変わります!」用プレゼン資料)

2017年11月2日(木)20:30 晴れ
平成29年度東京大学二次文科の現代文「大問四」随筆問題の小問(四)正答文末を修正しました。
設問が「~どう思ったのか」でしたので、それに合わせて正答の文末を以下のように修正しています。確認してください。

正答:藤の花の香りやその周辺の光と音の醸し出す美的空間がもたらしてくれる感覚的な陶酔感に心を満たされ、その美的空間の内側に自分と父だけが外界から遮断されて存在しているかの如くに思ったこと

2017年10月31日(14:30)秋晴れ
10月も今日で終わり、明日から11月です。

 サイトをご覧の高校3年生の皆さんは、進路実現のための準備も本格的になっていることでしょう。そのためか、このサイトも過去問を扱っているので、この時期辺りから閲覧数が急に増えてきます。論理的な文章の読み方を皆さんが身に付けてくれることを願っています。また、高等学校で現代文の指導を担当されている先生方にも多数ご覧いただいているようですが、お役に立っているでしょうか?

 今日は秋晴れと呼ぶにふさわしく、雲一つない青空に覆われて、私も愛宕神社(正式には鷲尾愛宕神社)まで散歩がてらの参拝に行ってきました。火徳の神、願掛け(断事)の神として遠近からの参詣者も多く、正月3ヶ日には70万人もの参拝があります。
 写真は、お社の裏手から見下ろした博多湾です。左手前方の島が能古島、右手奥が以前にも紹介した志賀島(金印)です。
 本サイトが、全国の高校生の役に立てることを(少し欲深い感もありますが、受験での現代文読解も含めて…)祈願してきました。

 本サイトの目的はトップページに掲げたように若い皆さんの「論理的な思考力・判断力・表現力」を高めることが第一義ですし、「高校生の皆さんが様々な評論文の学習を通して現代という時代状況の真実を確かな論理力や判断力でしっかりと理解し見据え、若い人たちの夢や希望を託す未来が失われてしまわぬように」と祈願した次第です。

 その際に、今年のノーベル文学賞に輝いたカズオ・イシグロ氏の作品『わたしたちが孤児だったころ』の一節、第二次世界大戦前夜の上海租界における主人公クリストファーの感懐が、心にふと浮かんできました。少し長いですが、ここに引用します。
 「実を言えば、上海に長くいればいるほど、わたしはこの社会のいわゆる指導者と言われている人々を軽蔑するようになってきていたからだ。調査を続けるうちに、ここ数年来、彼らの中に巣食ってきた怠慢や腐敗、あるいはもっとひどいことがほとんど毎日明らかになってきていた。責任ある人々が言い逃れや、近視眼的見方をしたり、往々にして見られたあれほどの不誠実な態度をとることがなかったら、状況は今日ほど危機的な段階には達していなかったはずだ。」(早川書房:入江真佐子訳)

 先ごろ行われた衆院選の喧騒の最中に読んでいたからでしょうか、ある種の共感を覚えた一節でした…。

2017年10月10日(16:20)晴れ
平成29年度東京大学二次現代文「大問四」随筆問題、小問解説まで完了しました。

本日、本年度東京大学の大問四の構造図や解説を終えました。途中、小問解説をしながら構造図を何度も修整していましたので、これまで「工事中」の間も構造図や解説を読んでいた高校生の皆さんは、今日で完了した「完成版」を必ず確認してください。参考に、全体の構造図を下に掲げておきます。本編の記事は「東大」を掲載したページの大問一の後に続けてアップしてます。

東京大学の入試問題と聞くと、腰が引ける人もいるかもしれませんが、他の大学に比較しても決して難問でもなく、かえってオーソドックスで読みやすく、29年度京都大学「大問一」随筆問題と同様に、この「随筆」問題も素材文自体は高1から高2レベルの文章というところです。

評論問題で求められる論理を構造化する力を育成していく前段階として、各小問(部分的な解釈問題の小問一は除く)とも「二項対立の軸が一つの単純な構造」の問題ですから、他の大学を目指す中学3年生から高校2年生あたりまでの皆さんにとっても、非常に良い練習問題となりますよ。

2017年10月6日(0:15)曇りのち雨
平成29年度東京大学二次現代文「大問四」随筆問題、全体の論理構造(展開図?)を解説完了しました!
(小問毎の解説は近日中に…。)

 今回の29年度東京大学二次「大問四」随筆問題や、29年度京都大学二次「大問一」随筆問題の解説箇所に、一般的な「随筆の読み方」や解答作成の観点に関するポイントを「コラム」記事として出していますが、ブログのここにも東京大学の分を参考に一部省略して載せておきます。

コラム *随筆(エッセイ)を読み解くために必要な枠組み的知識(スキーマ)*

 「随筆(エッセイ)」ですから、評論のように明確な二項対立の軸が何本もあるわけではありません。ただ、主観性や主情的な表現の強い中にも緩やかな対比構造(言い換えれば、二項対立の価値体系軸がひとつだけで、二本が交差することがない等)はあります。
 
 随筆では緩やかな対比構造を問う問題があり、そのような設問では論理の二項対立的な構造という枠組み(スキーマ)を受験者自身の既有の知識を前提にして、本文の表現に存在する論理(情報と情報の関係性)を演繹的に推論し、設問に対する記述解答の骨格とすることが求められるのです。
 
 今回の東大二次国語の大問四「随筆」では、部分的な内容解釈問題である小問(一)以外、小問(二)では「姉(出来の良い子)VS私(出来の悪い子)」、小問(三)では…以下、省略。(詳細は東大のページで)

 緩やかのように見えても、この二項対立軸を明確に意識して答を作成しなければ、予備校の模範解答によく見受けられますが、本文の語句を基準もなく取捨選択したに過ぎないような散漫な印象の作文になってしまいます。

 ここで求められている学力とは、すなわち解答者本人の既有の知識を統合した推論によって論理を構造化するという創造的・汎用的な思考力そのものなのです。

 また、「評論」とは異なって「随筆」は主観性・主情性の強い文章ですから、筆者の心理・心情を直接に明示する心情表現(動詞・形容詞・形容動詞など)、または情景描写によって筆者の心理・心情を間接的に伝える形容表現(形容詞・形容動詞)が、「随筆」読解のキーワードになっていきます。

2017年10月1日(日)21:45 晴れのち曇り
平成29年度東京大学二次現代文「大問四」随筆問題、やっと解説に着手しました!
場所は、「東大,一橋」ページの「29年度 東大評論」の後です(まだ、作成中…)。

名古屋大学の更新が終わって一週間が経ち、ぼちぼち更新しなくてはと思い立ち、明確な論理構造をもった評論から、今回は主観性や主情性の強い「随筆」をやってみようと思います。

まだ、前半のみの構造図(というより展開図かな?)を、取り急ぎブログに載せてみます。まだ、作成途上ですが、評論とは解き方も趣が異なるので、完成の暁には「随筆問題は設問の意図や趣旨がつかみどころがないなあ」と思っていた高校生の皆さんH29京都大学第一問目の随筆(全体構造図もここに参考として載せておきます、詳細は京大のページで)と併せて読み比べながら、読み方としての共通点を身に付けてくださいね。

2017年9月24日(日)21:50 曇りのち晴れ
平成29年度名古屋大学二次現代文「大問一」評論問題の「論理構造図」、一部を追加して更新!

 小問六の解説に合わせ、下の図のうちの形式段落⑭~最終⑲の論理構造に「人のつながり 心の絆」という「吹き出し」を加えました。
(図のあとに続く☛)

(☚前に続く)
 小問六「縮充時代に応じた地域社会」の在り方を筆者の主張に沿って説明する問題でした。

 一般的に、評論や説明文に筆者自身の心情(願望や欲求など)が一人称で語られている箇所は、筆者の主張を理解する上でとても重要なポイントになります。

 本文でも、筆者の述べる生活上の「質の高さ」が実は「他者との人間的なつながりや心の絆」を念頭に置いて用いられていたことを、形式段落⑯最終の2文「私は~地域に住みたい。」「友達が~楽しいことが~生きていける気がするからだ。」という筆者自身の心情表現から理解することができるのです。

 そこで、吹き出しの「人のつながり 心の絆」という文言にして構造図に加えたところです。小問六を解答する際に、記述の大切なポイントになります。

2017年9月22日(金)15:55 曇り
平成29年度名古屋大学二次現代文「大問一」評論問題の、解説やコラムがやっと完了です!

本日、スローペースでの作業、やっと終わりました。東京在住のB社のM・S君Y・D君、また誤字脱字や表現の捻じれ等を見つけたら連絡を下さい。僕の悪い癖で、一度書き終えた原稿は二度と読まないので…。

また、同じくB社の岡山在住T・K君(若手の俳人としても高名な方です)、このサイトをいつも大阪の高校生諸君に紹介してくれて、ありがとう。

さて、名古屋大学の説明後の「コラム」を一部省略して、ここに掲載しました。ご一読ください。

コラム:評論文で求めるのは、論理(情報と情報の関係性)を構造化する力

★29年度(2017年度)の名古屋大学国語問題大問一(評論)について
 例年通り、「論理の構造」がはっきりとしていて、読みやすいものでした。論理的な構造の骨格を成す二項対立(形式段落①「量VS質」、形式段落②「増加VS減少」)の価値体系が冒頭から明示されています。
 その意味では、大学入試の二次試験で現代文評論の記述式問題を解くことになる高校生にとって、論理を構造化して読む習慣を身に付けるための最良の練習問題となります。

★ほぼ二分される二次の評論問題(ひとまず、国公立や旧帝大系の評論に限って)
 言語表現として素材文の中に明らかに示されている言語情報相互の関係性(これは二項対立の価値体系が基本です)を読み取って、全体の論理を構造化して完結する従来型の問題です。旧帝大に限れば、昨年度や今年度の北海道大学名古屋大学九州大学の大問一がこのタイプの問題です。 

 素材文が与える言語情報に対して受験者自身がもつ既有の情報(政治、経済、文化など多岐にわたる分野に関する知識)を統合することで二項対立の軸を完成させながら、設問が要求する論理へと構造化(これを「推論による論理の構造化」と呼ぶ人もいます)を発展させていく問題です。
 この新しいタイプの問題は、従来型より高次な思考力(創造的・発展的な思考力)を測定しようとする意図があります。東北大学大阪大学は昨年度からこのタイプの問題を大問一の最終設問として出題しており、京都大学の随筆や東京大学の評論問題も今年度あたりからこの傾向が出てきています。

 高校生の皆さんは、名古屋大学などの従来型の問題を解くことで「論理の構造化」に慣れていき、そののちに大阪大学や京都大学のような新しいタイプの問題に習熟していくのも、現代文の学習のやり方として良いと思います。

2017年9月16日(土)23:00 雨のち曇り
本サイト、一歳の誕生日です!

本サイトを公開してから、本日、丸一年が経過し、人間で言えば一歳の誕生日というところです。

自分なりの社会貢献の在り方のひとつとして本サイトを公開した当初、全国の中高生のうちの、たった一人にでも役立てればと願っていたものでした。

しかし、この一年の間に少しずつ訪問者や閲覧数も増え、励ましやご支援の言葉も時折頂戴するようになったのは、本当に有り難いことだと思っています。

なお、平成29年度名古屋大学二次現代文「大問一」評論問題は、現在、更新中です。論理の構造図や解説は随時、修正を加えている最中ですので、更新完了の際にはもう一度読み直してください!

2017年9月15日(金)15:00 曇り
平成29年度名古屋大学二次現代文「大問一」評論問題、追加更新中!
 ひとまず、論理の構造図を掲載しています。ページ「大阪大、名古屋大」の大阪大の次に出てきます。

 全体の論理構造や小問毎の説明は、これから随時、加えていきますが、他の大学同様に「論理(文章に明示された言語情報の関係性)の構造化」ができるかどうかを試す問題です。

2017年9月8日(金)15:00 晴天
   志賀島は博多湾の北部に位置し、海の中道(全長約8 km、最大幅約2.5 kmの巨大な砂州)によって福岡本土と陸続きです。万葉集で筑紫に下向した柿本人麻呂「大君の遠の朝廷とあり通ふ島門を見れば神代し思ほゆ」と詠んでいますが、この歌の中の「島門(しまと)」とは、博多湾への入口に浮かぶ志賀島と能古島を門に見立てたものと言われています。また、国宝の金印(漢委奴国王印)が発見された島としても有名ですね。
 画像に写るのは、島の北側の玄界灘です。海を渡る風に吹かれながら神代の昔に思いを馳せましょうか…。




2017年9月6日(水)13:10 曇り
 もう9月を迎えてしまいました。

 大学入試センター公表の記述式や客観多選択肢の問題も確認しながら、「主体的、対話的、深い学び」という言葉に代表される学力観に基づく新テストのサンプル問題を夏休みの間、ずっと作っておりましたので、気にはなりつつも相変わらず、本サイトの更新を怠けております。

 昨日は、本サイトを読んでいただいた高校にお勤めのⅠ先生からお便りを頂き、とても感激しております。本サイトが少しでもお役に立てておれば、まさに幸甚この上ないことです。

 本サイトは旧帝大系の過去問を中心に構成しておりますので、難関大学合格を目指す高校生のためだけに作られているように見えますが、良質な現代文素材を読み、設定された問題を解くプロセスを通して子供たちの論理的な思考力がより高次へと導かれていくように、という趣旨で作っています。

 加えて、昨今、利益重視の大手予備校や塾が増え、子どもたちの経済的な負担はますます大きくなってきています。しかしながら、そのような民間業者の現代文指導は、対面によるリアルなコミュニケーションによってしか育成されない汎用的な論理的思考の力には、決して結びつくことがないものです。

 その意味でも、小学校から高校まで公教育において地道に子どもたちの国語の力を育ててこられた学校の先生方や子供たち本人にとって、これからも本サイトの内容が少しでも役に立つようにと願っています。

 因みに、今月16日で本サイトを開設して丸1年となります。これまでにサイトの訪問者が全国から5,000人ほどになり、検索数も1万回を優に超えるようになりました。また、時間に余裕が生れ次第に更新していきたいと思います。

 また、日々、教え子の皆さんの国語の力の育成に真摯にご尽力されておられるⅠ先生の、益々のご活躍を心から祈念いたします。

2017年8月7日(月)12:30 晴れ
気づいてみれば、更新せずに一ヶ月半ほど経ってました。高3生などは受験勉強を本格的に始められた?頃でしょうか?

今も、本サイトにアクセス・閲覧をしていただいている方々(高校の先生や受験生の皆さん)が毎日いらっしゃいます。それを励みに、現在進行中の仕事が終われば、また、過去問の更新を始めますので、しばらくお待ちください。

2017年6月26日(月)15:05 曇ときどき小雨
梅雨入り後も長く雨も降らず、日照り続きで農家の方々も困惑されていたようでしたが、やっと一昨日辺りから梅雨らしい天気になってきました。

帝大系を中心とした国立大学の二次評論問題が、演繹的な推論(スキーマでいえば、トップダウン的な情報処理)がより必要な批判的かつ汎用的な思考力を問う問題に変わりつつあることを、皆さんに分かっていただけるようなページにしたのですが、いかがでしょうか?

2017年6月12日(月)10:10 曇り時々晴れ
本日、新たなページ「変わる二次評論」を追加しました。

2017年5月28日(日)22:30 晴天
前回に続いて、高校生がより分かりやすく読めるように、既に掲載済みの解答を修正しています。

平成29年度(2017年度)の北海道大学二次総合入試「大問一」小問五

並びに
平成29年度(2017年度)の 東北大学 (文系共通)「大問一」小問(五)

それぞれの正答案を新たに修正しました。

2017年5月27日(土)12:28 晴天
既に掲載済みの平成29年度(2017年度)の東京大学二次評論(文理共通)の解答解説、小問(四)の正答案を今回新たに修正しました。

改めて読み返してみると、高校生には読みづらい印象がありましたので、「人間VS科学技術」「有限性(➡絶対的価値の有効化)VS無限性(➡絶対的価値の虚構化)」の関係がより分かりやすくなるように、小問(四)の正答案を書き改めてみました。

2017年5月23日(火)16:25 曇天
公表された「大学入学共通テスト」問題の「奇々怪々」!

先週5月16日(火)に大学入試センターが公表した現行のセンター入試に代わる「大学入学共通テスト」を見ました。予想通り、現在、義務制(小中学校)で行われている「全国学力・学習状況調査の調査問題」B問題を模倣した「高校版B問題」とも呼べるような代物でした。

実生活の場面における実用的・実務的な言語活用能力を測るという点で、文科省が今後このような方向での問題を作成・出題しようとする意図は理解できます。しかし、記述式問題自体の精度の低さ・完成度の低さには大いに落胆しました。

結論からいえば、見かけ上は「高校版B問題」ですが、問題自体の精度や信頼性については公表に耐えうるような模範解答例・採点基準も含めて記述問題を作成できる人材が、大学入試センターには一人もいないということを奇しくも露呈した感のある「モデル問題例」でした。

「モデル問題例1」は、問題作成者の主観的・恣意的な解釈と、その解釈に沿った正解例や正答の条件をひたすら正当化していくプロセスが垣間見え、なかなか興味深い問題でした。

その問1問3は明らかに異なる観点や解釈からまったく異なる記述解答が他にいくつも考えられますし、問4に至っては条件2~条件4に沿いながら問題文から「情報」を取り出し、その取り出した情報を組み合わせるにすぎない問題となってしまってます。これが問4の【主な指導事項】にある「論拠に基づいて自分の考えを文章にまとめる~」ことなのかと唖然とします。

これでは、国公立大学二次試験記述問題の比重が今後ますます大きくなっていくでしょう。さらに、今回のような学力測定テストとして極めて精度の低い問題を平成32年度から本当に実施するならば、大学入試センターに対するこれまでの信頼感は大きく揺らぎかねません。


2017年5月19日(金)11:40 晴天
平成29年度(2017年) 東北大学 (文系共通)「大問一」の小問ごとの解答・解説を、やっと完了しました。

先週から修正と更新を並行して行ってきましたので、先週から今日までの間に、この東北大の問題の全体論理構造や小問ごとの解説を読んだ方は、今回、改めて読み直してください。

2017年5月16日(火)11:05 曇
平成29年度(2017年) 東北大学 (文系共通)「大問一」の全体の論理構造が完了しました。小問ごとの解答・解説は近日中にアップする予定です。

本サイトを高校3年生のお子様と一緒にご覧になった保護者の方から、私の友人を介してお言葉を頂戴しました。

「ホームページを娘と拝見しました。とても具体的な解説がされており、感激しました。このように丁寧な解説がされてあるホームページなどは観たことがありません。現代文の勉強はなかなかできないし、何をしていいかわからないから困ってました。しかし、現代文は日本語だからと、塾の講座を選択して受けるのも後回しになってしまいがちです…。このホームページはその意味でもありがたく、今後もサイトの充実を期待しております」

「たった一人の高校生でも読んでもらって役に立てば…」と願って昨年10月から始めた本サイトですが、この度、保護者の方のご感想を頂き、少しはお役に立てているようだと嬉しくも実感した次第です。お声をかけて頂きました保護者の方に改めて感謝申し上げます。

文章を読み解く面白さや表現する楽しさを高校生に伝えていくのが私の本分ですから、機会があれば無償のボランティアとしていつでもお伺いして授業をする気持ちでおります。

2017年5月7日(日)17:37 晴天
今日で今年のゴールデンウイークも終わります。日ごろから土日も関係なく部活動にいそしむ高校生には縁の無い話です(もちろん、私自身もですが…)

昨日から、平成29年度(2017年) 東北大学 (文系共通)「大問一」の解答・解説の準備を始めました。

小問(四)は今年度、各大学で大流行のパラドックス(逆説)的な論理の説明を求めています。今回、東北大学で問われたパラドックス的な論理で語られるのは人はすべて自分が「見たいと思う」ように物が「見える」という内容で、自分自身の経験として共感できる話でした。

近日中に東北大学は公開しますが、パラドックス(逆説)的な論理が苦手な人は、既に公開の下記の設問をぜひ確認しましょう。

●28年度九州大学 (文系全学部)大問一の小問6
●29年度東京大学 第一問(評論)小問(三)
●29年度京都大学 (理系学部)大問二の小問二
●29年度京都大学 (文理共通)大問一の小問(五)
●29年度 大阪大学 (文学部を除く文系学部共通)「大問一」の小問二
●29年度 東北大学 (文系共通)「大問一」の小問(四)…近日中の公開予定

2017年5月1日(月)16:27 曇り
平成29年度(2017年)大阪大学「大問一(法・外国語・経済・人間科学)」の解答解説を完了しました。
後日、「問題を振り返ろう!」を追加する予定です。

今日から5月になりました。下の写真は佐賀県基山町にある大興善寺、別名「つつじ寺」と呼ばれる天台宗のお寺です。
全山一面が7分咲きの「つつじ」と新緑の「もみじ」で覆われており、心洗われる時を過ごしました。

2017年4月29日(土)21:27 晴天
平成29年度(2017年)大阪大学「大問一(法・外国語・経済・人間科学)」の解答解説を開始(工事中)しました。
別の業務と重なってしまいましたので、まだ編集完了まで時間がかかりそうです…。

2017年4月22日(土)11:50 晴天
平成29年度北海道大学二次総合入試「大問一」(評論:文系共通問題)の解答解説が完了しました。
原文からの切り取りである問題文は、適切な注がないと非常に読みづらくなります。今回の北大の大問一もその典型でした。

2017年4月20日(木)22:55 曇
平成29年度北海道大学二次総合入試「大問一」(評論:文系共通問題)の解答解説を開始しました。本日は、論構造図の掲載のみですが…。

平成29年度九州大学二次「大問一」評論(文系学部共通問題)のコラム「問題を振り返ろう!」は完了しています。

2017年4月16日(日)13:15 快晴
平成29年度九州大学二次「大問一」評論(文系学部共通問題)の解答解説、完了しました!(あとは、この問題のコラム「問題を振り返ろう!」をこれから作ります…)

昨日は午前中は快晴でしたが、午後からは雷を伴う激しい雨が降りました。まさに春の到来を知らせる「春雷」です。今日も快晴ですから、気分転換に百道浜に散策に出かけました。

2017年4月15日(土)14:10 快晴
K君(チーフ)、昨日は岡山でお世話になりました!

2016年以上に部分的な解釈より全体の論理構造を重視する方向へと問題が変化してきた2017年の大学入試(現代文)。もう少し早いペースでホームページの更新もしなくてはと思った一日となりました。

2017年4月11日(火)22:25 雨
平成29年度九州大学二次「大問一」評論(文系学部共通問題)の解答解説、更新始めました(まだ工事中です)。

学校も新学期が始まりました。本サイトも少しずつ更新していきます。

2017年4月4日(火)12:55 晴れ
★トップページの更新、続けています!

昨年10月初めに本サイトを立ち上げましたが、昨年の暮れに検索数が5,000を超えたあたりで、ちょっと難しそうと2チャンネルで話題になっていました。そこで、今年の3月になって、トップページの内容をより分かりやすくなるように更新し始めましたことを、遅まきながらお知らせします。

2017年4月4日(火)08:22 晴れ
S君、D君の両君、昨日は誤字脱字のご指摘及び詳細な感想を頂き、ありがとうございました。

因みに、今年の東大の評論問題にも誤字脱字があってビックリでしたね。まさに前代未聞の出来事です。
2017年4月3日(月)15:38 晴れ
平成29年度京都大学二次「大問一」随筆(文理共通問題)の解答解説、完了しました!
まだ、問題の振り返りはしてませんが…。

2017年4月1日(土)01:35曇り時々晴れ
平成29年度京都大学二次の「大問一」随筆(文理共通問題)、全体構造から開始しています(工事中)。使用された素材文は、高2の教科書レベルです。

いよいよ今日から新年度です。新たに高校3年生となって、上級学校への進学を目指す人はその希望が叶えばいいですね。

2017年3月27日(月)22:00晴れ時々雨
平成29年度(2017年度)の東京大学二次評論(文理共通)の解答解説、掲載完了!素材文自体は、高3の教科書に掲載されるような平均的な文章レベルでした。

2017年3月23日(木)22:15 晴れ時々曇り
平成29年度(2017年度)の入試問題の解説解答作業にやっと着手!
まず手始めは東大の評論からですが、まだ工事中です。

2017年3月22日(水)12:00 曇り時々晴れ
★トップページ、もっと高校生にも分かりやすく工事中!

2017年2月18日(土)11:15 晴れのち曇り
★評論文における演繹的な推論(トップダウン式)と帰納的な推論(ボトムアップ式)の話
いよいよ、国公立二次試験は一週間後です。受験生の皆さんは「武者震い」とでもいうような緊張感のなかでしょう。

現代文読解法の記事は今やウェブ上に溢れかえっており、いずれも「指示語や接続語、対比表現や、相同表現などに着目しよう云々」とくり返しています。確かにそのような視点は大切なことであるけれども、それは高校3年生にもなればごくごく当たり前すぎる話でしょう。

このような当たり前すぎる話は、本講座トップページ「ウサギスキーマ」の例でいえば、本文中の個々の語句・語彙の文字情報に基づきいてボトムアップ式(帰納的な推論)だけで全体の論理構造を自力で作りなさいと言っているようなものです。

ですから、「スキーマと評論」ページのコラム「シンプルな語句ほど普遍性をもつ➡『相対化する性質』」をもう一度確認し、ボトムアップという語彙情報から本文の論理構造を組み立てる処理の仕方を、具体的にイメージしてください。

おして、その際には同時に、評論文の論理構造が最終的にどのような論理構造をもつのかということを必ず念頭に置いておくこと、つまり本講座トップページ「ウサギスキーマ」で示したようにトップダウン式に演繹的な推論が常に働く状態にしておきましょう。

評論文の論理構造のイメージを「スキーマ」として事前にイメージしておくことが、入試の評論文を時間内で読解するには重要です。というのも、二次試験の評論問題は全体の論構造を踏まえた設問だからです。

2017年2月12日(日)22:05 晴天(夜)
今回、論理構造を分解して、スマホやiPhoneでも読みやすくしました。

学校や予備校までの往復の電車やバスの中などわずかな隙間の時間に、各大学の評論文における論理構造が組み立てられていくプロセスを、斜め読みでも結構ですから何度も繰り返し眺めてください。

それを実行するだけでも、本番での読みの深さは、確実に良い方向へと変わるはずですから。


2017年2月12日(日)15:03 晴れ時々曇り
28年度名古屋大学評論の小問解説について「スマホ」「iPhone」でも読みやすくするため、論理構造の分割完了!

国公立二次試験の実施まで、あと二週間になりました。受験生の皆さんは、今は必至で頑張ってます。直前になって、自分の不得意科目を何とかしようと奮闘している人もいれば、得意科目で高得点を狙ってますます磨きを掛けている人もいるでしょう。

でも、受験生にとって、当日、問題用紙が配布されるまで不安や心配が払拭できないのが現代文、特に評論文。

とにかく、初めて読む長文を相手にするのですから、トップページで述べたように現代文が『ブラックボックス』のままで初読の評論を読むのは、かなりの緊張を強いられます。

その時こそ、本講座で用いた各過去問に示された論理構造を思い出して、二項対立の両極となる語句を探すところから始めればよいのです。

2017年2月12日(日)10:57 晴れ時々曇り
28年度名古屋大学評論の小問解説について「スマホ」「iPhone」でも読みやすくするため、論理構造の分割完了!

2017年2月11日(土)19:54 曇り時々雪
28年度大阪大学の二つの評論の小問解説について「スマホ」「iPhone」でも読みやすくするために、論理構造を分割しました。

大阪大学の評論問題を読む度に思うのは、国公立大学の中でも最も演繹的な推論の力を求める大学だなあとつくづく思わされます。

それに比べて、東京大学の評論文は、素材自体は実に緻密に論理が構成された文章ですが、設問自体は非常にオーソドックスで、本文に明らかに示された情報をもとに論理構造を丁寧に組み立てていけば、どの設問も答えていけるように作られています。

2017年2月9日(木)23:38 晴れ
受験生には難問であった27年度東京大「評論」の小問解説も、「スマホ」でも読みやすくなるように論理構造図を分割しました。

2017年2月9日(木)20:43 晴れ
26年度東京大「評論」の小問解説を、「スマホ」でも読みやすくなるように論理構造図を分割しました。

2017年2月9日(木)15:53 曇り時々晴れ
28年度九州大の大問二(随筆)の小問解説を、「スマホ」でも読みやすくなるように論理構造図を分割しました。

28年度京都大の大問一(随筆)と論理構造はよく似ているので必ず比較して確認することです。

2017年2月9日(木)14:48 曇り
28年度九州大の大問一(評論)の小問解説を、「スマホ」でも読みやすくなるように論理構造図を分割しました。

2017年2月8日(水)11:37 曇り時々晴れ
28年度京都大の大問二(評論)の小問解説を、「スマホ」で本講座を学んでいる中高生のために読みやすくする改造(論理構造図の分割)、完了しました。

2017年2月8日(水)09:18 曇り
28年度京都大の大問一(随筆)小問解説を、「スマホ」で見ている中高生のために読みやすくする改造(論理構造図の分割)、完了しました。

28年度九州大の大問二(随筆)と論理構造はよく似ているので必ず比較して確認することです。

2017年2月8日(水)00:18 晴れ
スマホで見ている中高生に、各大学の過去問の小問解説ができるだけ読みやすいように、随時、論理構造図を分割するなどの改造中です。まずは、28年度東京大の「評論」から始めました。

2017年2月6日(月)22:57 晴天
トップページにコラム「大断絶」を追加しました。中高生の皆さんにとって縁遠い内容かもしれませんが。

2月に入って明日でもう一週間。上級学校を目指す中3生や高3生の皆さんは、ますます入試の準備に余念のないことでしょう。上手に気分転換を図りながら本番を迎えてください。

2017年2月1日(水)14:48 曇りのち晴れ
トップページに、国公立二次過去問を用いて論理的思考のプロセスを構造化したものを追加!
ついでに、2017年センター入試第1問評論の傾向分析なども追加しました。

 トップページは、これで評論スキーマに関する一通りの説明は終わります。
 論理的な思考の原理やプロセスをまず知って、それから評論文を読むための足場を築くための枠組み的な知識「スキーマ」を活用した演繹的な推論によって、各ページの評論文にチャレンジしてみてください。

2017年1月29日(日)21:35 曇り時々雨
トップページに【コラム:点と点を結ぶ】追加しました。

さて、トップページ【評論文は、どうして同じような「論理の構造」をもつのかな?】で、プレゼン資料下部の「タワーの大きさの意味」を考える男の子の話、分かってもらえたでしょうか?

5,6歳でこんなことを考える子は、大人から見れば理屈っぽくて可愛げのない子に思えるかも?でも、ひょっとすると、自分が理解できないことは何でも全否定するような狭量な大人には、賢い子どもたちほど生意気に見えてしまうんだろう、きっと。

2017年1月26日(木)12:15 快晴
評論文の論理構造が似てるのは、なぜ?という話、トップページに更新しました。

教科書や大学入試の評論文が同じような論理構造をもっていることについて、説明しています。まだ、入試の過去問を用いた記事を追加する予定です。


2017年1月24日(火)13:10
センター試験評論を振り返って二次試験評論に役立てよう!

センター試験が終わって10日間が過ぎ、高3の皆さんは二次試験対策に追われている頃ですね。インフルエンザが流行っていますから体調には気を付けましょう。

今回のセンターの現代文は、評論・小説共にきちんとした読解力が試される良問でした。結果的には平均点が下がってしまいましたが、評論文は二次記述の対策用として示唆するところの多いものでした。

特に、評論の小問5は本文中の一文に傍線を引きつつも、全体の論理構造を踏まえていないと正解選択肢へたどり着けないという、センター試験にしては珍しくハイレベルの問題です。

勿論、正解は選択肢として用意されていますが、東大や阪大・京大などの難関大学の最終小問と同じく、本文全体の論理構造を理解した上で小問5を解答するといった「演繹的な推論の力」を求めていますので、二次記述問題を解くための練習に十分なります。

次の図は、本文の全体の論理構造です。

この全体の論理構造図から分かるように、「科学者」という職業的専門家たちは科学を「善」とした上で、「科学」を「悪」とする「素人の一般市民」に対処しようとします。

次に、「コリンズ・ピンチ」といった科学社会学者たちは、「素人の一般市民」に対して「科学」は「善」と「悪」のどちらにも転び得る不確かな「ゴレム」なんだという処方箋を与えます。

しかし、この「コリンズ・ピンチ」といった科学社会学者たちの対応も、「素人の一般市民」を一枚岩的に「科学」を捉える人たちだと認定した上での議論の結果に過ぎない、と筆者は述べているのです。

つまり、「素人の一般市民」たちは「科学」を「悪」だとするだけで科学の「ほんとうの」姿を知らない人たちなんだと認定する点で、「科学者」も「コリンズ・ピンチ」も似たようなものなのだとする選択肢④が、正解というわけです。

全体の論理構造は、図のように「素人の一般市民」VS「学者さん(科学者と科学社会学者)」を横軸にし、学者さんたちの科学に対する二通り捉え方(「科学者の捉え方」VS「科学社会学者の捉え方」を縦軸にしています。

この小問5は、二次の記述試験の前準備として良い練習になる問題でした。今後、センター試験評論でも「評論スキーマ」のような演繹的な推論を駆使しながら本文の全体的な論理構造を踏まえないと、なかなか正解が出せない問題が出てくることが予想されます。

2017年1月16日(月)11:30
センター入試が終わりました。

受験生の皆さん、お疲れさまでした。現代文は評論も小説もやや難化と予備校が分析していますが、評論の論理構造は「評論スキーマ」を意識して読めば、決して読解するのが難しいレベルではなかったでしょう。

小説は、野上弥生子さんの1912年に発表された作品。小説としてはオーソドックスで素直な文章でした。

教育出版大手のB社がセンター対策の最終仕上げ用に「2017センター試験プレパック」というのを出していましたが、野上弥生子さんの別の作品が使われていました。こので野上さんの文章に馴染んでセンター試験に臨んだ受験生は、100年も前の文章でもあまり抵抗を感じずに読めたのではないかな。

取り敢えず、2017年度のセンター試験は終了しました。あとは二次試験に向けて、体調万全に頑張りましょう。

2017年1月12日(木)10:48
評論スキーマから小説スキーマへ(センター入試直前の「おまけ」みたいなもの)

いよいよ、今度の土・日は2017年度のセンター入試です(1月14日・15日)。日本各地とも寒波襲来とのことで、高校3年生の皆さんは十分に暖かい格好で早めに会場へと向かわれることでしょう。平常心で力を発揮されるよう、祈っています。

今を去ること数年前(2014年12月末)、40~50人の高3生と一緒に年越しそばを食べました。その際、本講座トップページにあるような内容を、ホワイトボードに書きなぐりながら「センターでもこのスキーマを忘れずに」と慌ただしく話したことがとても懐かしい思い出です。彼らにとっては初めて聞く話だったのですが、年越しそばを食べながらも熱心に聞いてくれた姿が今も目に浮かびます。

ここで、下の図を先に見てください。

本講座は評論問題中心の話ばかりですが、小説問題もスキーマ的には似たようなものです。というより、構造的には評論に比べてものすごく易しい。というのも、小説の場合の一方の軸は、過去から現在もしくは未来へと時間の経過に沿って時々刻々と登場人物を取り囲む状況が変化していく「時間軸(もしくは状況軸)」でしかあり得ないのですから。

もう一方の軸は、時間の経過に伴う状況の変化に沿って、登場人物の心理・心情が上昇と下降、沈滞と高揚という内面的な変容を繰り返し、その間に心の葛藤や人間関係の緊張・摩擦・対立が生じていくといった、いわば心理・心情の「往復運動軸」です。

つまり、思想的なビジョンといった多種多様な価値体系を軸にもつ評論問題と違って、小説問題は「時間軸」と心理・心情に限定された「内面的な往復運動軸」しかないのです。下図のような「小説スキーマ」とも呼べる小説プロットの構造を踏まえて、センターの小説は読んでいきましょう。

小問2から小問5までは、傍線部の前後に描かれた状況と最も整合性のある選択肢を、帰納的な推論(トップページのウサギスキーマの説明で述べている「ボトムアップ型」推論)によって正答として選択する問題であり、傍線部の前後の情報を収集する力とそれらの情報を帰納的に一般化・抽象化する力が試されます。

しかし、正答選択肢は目の前に用意してあるわけですから、それほどの高いレベルで一般化・抽象化する力が求められているわけではありません。いわゆる部分解釈の問題です。

小問6は、本文の展開のまとめか表現効果問題です。一見すると全体の展開を俯瞰的に理解していないと解けないように思えますが、各選択肢の文章をよくよく精査すると、本文の部分的な解釈をただ積み重ねただけの問題です。

このように、小説問題は部分解釈が中心の設問構成(「ブルームのタキソノミー」では、せいぜい「応用」段階。ブログ2016年12月18日の記事参照)ですから、高次の論理的思考力を問おうとする国公立の二次試験記述問題では、京大文系など一部を除き、まず出題されないのです。


2017年1月4日(水)11:50
スマホにビックリ、の巻

正月三が日も終わってしまいました。こんな風に人生もあっという間に過ぎ去っていくのでしょう・・・。

昨晩、知り合いの先生から、本サイトをスマホで見ると文字がダブっていたり背景が真っ赤になっていたりしてます、という連絡を受け、急いで自分のスマホで確認するとホントにそうなのでビックリ!

パソコンでアクセスすると、こちらの意図通りにきちんと画面に反映しているのですが、高校生の皆さんはこのサイトをスマホで見ているケースが多いので、「こりゃあ大変!」と自分のスマホの画面を横に見ながら、パソコン上で文字の大小やフォント、背景などの不具合を、今日の朝方近くまで直していました。

お知らせいただいた先生、どうもありがとうございました。

2017年1月1日(日)22:35
新年、明けましておめでとうございます。

高校受験や大学受験をいよいよ目前に控えた中学三年や高校三年の皆さんは、年賀の挨拶どころではないかも知れませんが、酉年を迎えた今年、皆さんが大空高く羽ばたかれ、お一人お一人の大願が成就されんことを心から祈っております。

さて、前回の記事から年を挟んで、もう10日以上経ってしまいました。トップページの追加記事の予告だけで、いまだ記事の枠だけの状態です。

現在、小学三年・六年、中学三年、高校三年それぞれの国語教科書を一気読みしている最中ですので、その後には枠内を埋めていこうと思っています。

2016年12月20日(火)9:40
評論や説明文の論理構造が似てくるのは、なぜだろう?という話。

前回、小学4年用や高校1年用の教材を取り上げて、それらが大学の入試評論と同じような論理構造をもっているという話をしました。限られた字数の中で論理的にまとまりのある文章を書こうとすると、みんな似たような論理構造となるのか、不思議ですよね。

その辺りの話を、下の図を用いて「進化言語学」や「理論言語学」などの知見の説明をしながら、高校生の皆さんに分かりやすいようにトップページに追加する予定です。


2016年12月18日(日)22:48
評論問題で大学が求める「論理的思考力」って何?という話。

高校生の皆さんには、少し唐突な話かもしれませんが、アメリカのベンジャミン・ブルームという教育学者が人間の思考は、知識を想起することから始まって、それから情報を分析したり総合したりしながら新たなものの価値を判断・評価するという複雑なものへと発達していくという6階層の思考段階を1950年代に発表しました。それは「ブルームのタキソノミー」と呼ばれています(下の左図をクリック)。

それから、60年ほどの時が過ぎてしまい、「記憶→理解→応用→分析→評価→創造」の6階層といった改良型のタキソノミーも出てきましたが、今でも、この「ブルームのタキソノミー」と呼ばれるヒエラルキー(ピラミッド型の段階的組織構造)を概ね基準にして、論理的な思考力を測るテスト問題が作成されたり、または、子どもたちの思考力の評価が行われたりしています。

大学受験を目前に控えた皆さんにはちょっと無縁な話のように思えるかもしれませんが、この講座で扱っている国公立大二次の評論問題は、このヒエラルキーのちょうど「分析」から「総合」辺りに位置しています。

余談ですが、2020年1月実施をもってセンター試験が廃止されるのは、センターの多肢選択式問題がこのヒエラルキーの「知識」「理解」からせいぜい「応用」程度までの思考力しか問えないと思われてしまったからのようです。そして、記述式を導入した新テストで、高次の思考力である「総合」や「評価」まで問いたいと文科省は考えているようですが・・・。

また、各大学で実施している個別の入試問題に関しては、2016年入試より実施可能なものから順次適応されるということですが、その傾向は、今年度、問題文に明示されていない内容を推論させる最終問を出題した大阪大学や東北大学の評論問題などに既に現れ始めています。東京大学の評論問題も全体の論理構造を構築させていくという小問の構成ですから、最終問の微調整だけで「総合」「評価」という高次の論理的思考力を問う問題作りへの準備は整っています。


以上のように、現在、実施されている国公立大の二次評論では、問題文の分析だけではなく、問題文に直接言及されていない内容まで推論していく力も要求され始めています。ですから、問題文自体の全体的な論理構造を初読で見抜けるほどの読解力がないと、なかなか最終問まで辿り着かなくなります。

そのような読解力を皆さんが養うための「足場かけ(「スキーマと評論」ページのコラム記事参照)として本講座の「評論スキーマ」があるのですが、今、小学校段階でもこの「足場かけ」にふさわしい教材とともに指導の取り組みも始まっています。

上の中図は、小学校4年用の国語教科書(光村図書)に載っている『アップとルーズで伝える』の論理構造です。これは、テレビのサッカー中継における画面の「アップ」VS「ルーズ」という二項対立軸に「個人」VS「集団」という二項対立軸を交差させる論理構造で、「目的に応じた情報伝達の方法」を子どもたちに説明した文章です。そして、子どもたちはこの教材の学習を通して二項対立による思考法や表現方法を身に付けていきます。

次に、高校1年生用の教材としてベネッセ進研ゼミの教材に掲載されたものを取り上げます(上の右図)。この『家族関係を考える』という文章も、家族内における「血縁の有無」という二項対立の軸に一般的な人間関係における「縦の関係」VS「横の関係」という二項対立軸を交差させる論理構造で、家族関係の意味を考察していくというものです。

この二つの教材は、小学生や高校生という学習や発達段階の違いに応じて語彙や表現、主題のレベルも異なっていますが、両者には本講座で読み解いた大学入試の評論問題と同じ論理構造があります。文科省が主導する教育改革が始まっている今、このような論理的な思考力を育成するのに相応しい適切な教材が今後もますます増えていくでしょう。

そして、大学がどのような論理構造をもった文章で受験生の思考力を問おうとしているのかを、入試を目前に控えた高校生の皆さんがここで改めて知ることはとても大事なことだと思っています。


2016年12月12日(月)16:28
先日、アップした28年度京都大の国語一問目の小問の解説と解答、三か所の誤記・脱字がありましたので修正しました。

ご連絡を頂いたD君に感謝です。ありがとう!!
これからも頼りにしておりますから、ドウカ宜しくお願いしますね。

2016年12月8日(木)20:56
 28年度京都大の国語一問目の小問の解説と解答、遅くなりましたが、すべて完了してアップしました。

この問題の素材は随筆風な文章ですが、多少の論理構造は存在してますから、しっかりと「スキーマ」の視点から読み解きましょう。

 東京でいつもお世話になっているB社研究所所員D君、資料を送っていただき、ありがとう。この場を借りてお礼を申し上げます。しばらく台湾に出かけていたので、受領したのが本日でした。

 因みに、下の写真の左側が「千と千尋の神隠し」で有名になった九份(台湾北部の港町基隆の近郊、新北市瑞芳区に位置する山あいの町)の夜景。真ん中がそこに到る坂道の途中で食べた「魚丸麺」など、一杯50元(200円もしません)。とても美味しかったです。右側が台北市内にある最古の「龍山寺」でパワースポットで有名らしいので、常に参拝客でスシ詰め状態でした。写真をクリック(タッチ)すると拡大!

 ところで、2015年PISAテストの結果が公表されましたが、日本の子どもたちの文章読解力が落ちてました。この件についての感想は、いずれ書きたいと思います。

2016年12月7日(水)12:10
 28年度大阪大学大一問目は、今、アメリカ社会を席巻している「反知性主義」の話でした。28年度の東京大も評論問題として「反知性主義」の話を取り上げてましたから、まさに旬の話です。

 今年のアメリカ大統領選でも、トランプVSヒラリーを「反知性主義」VS「知性主義」の構図になぞらえられて論じられてましたね。政治だけでなく入試でも、ここしばらくは「反知性主義」という言葉から目が離せません。

「反知性主義」とは分かりやすく表記すれば「反・知性主義」のことで、「知性」そのものを否定して憎悪するかのような「反・知性」では決してないことを、この際、しっかり理解しておきましょう。  

 一般に「反知性主義」VS「知性主義」の構図で「知性」が語られる場合、「知性主義」というのは「知性」を権威化して「知性ある者」こそが社会の優越者・卓越者となって大衆を指導するエスタブリッシュメントに相応しいという考え方として論じられています。

「反知性主義」とはこのような「権威化された知性」に対立するものとして本来は存在しています。したがって、もし「反知性主義」を単純に「知性が欠落した思想」と勘違いして28年度大阪大学の大一問目の評論文を読んでしまうと、小問四では「反知性主義におけるルサンチマンが知性と結びつく」といった解釈で答を作成するといったミスを犯してしまいますから要警戒です。詳細は大阪大の解説を読んでください。  

ただし、28年度東京大学の評論(出典は内田樹氏『反知性主義者たちの肖像』)では、「反知性主義」とは反知性的な人がもっている「知性に関する考え方」、「知性主義」とは「知性的な人」がもっている「知性に関する考え方」という構図で、論理が構築されています。

つまり、28年度大阪大学の大一問目の評論における「反知性主義」の解釈とやや異なっていますが、どちらの問題文にせよ、論理的な構造を「評論スキーマ」を前提にきちんと構築していくという読解の方法は変わりません。

2016年12月2日(金)14:15
 先ほど、28年度京都大の国語一問目小問二と三の解説と正答例を掲載しました。
 小問四と五は後日にアップします。構造図は示しているので、自分で正答を試しに作ってみるのも良いと思います。

 ついでにというと語弊がありますが、28年度大阪大学大一問目の解説を少しばかり加筆しています。

 要は、大手予備校の大半が小問四の答を間違えてしまっているという内容です。28年度では、一橋大学の小問三などもほとんどの予備校が不十分な答しか出せていないし、東北大学の小問五も答が出しづらい問題だったようです。

 さて、京都大学国語一問目の小問四と五の解説等については来週中にアップしたいのですが、明日からしばらく台湾に居ますので少し遅くなるかもしれません。台湾には昨年度も行く機会があったにも関わらず、体調が悪くて行けませんでしたので、今年度は娘を同行して行ってきます。

2016年11月28日(月)15:45
本日、28年度京都大の国語二問目の論理構造図を少々手直ししました。

一問目の解説はいまだ進行中です。

2016年11月24日(木)22:45
 28年度京都大の国語一問目(出典:松浦寿輝氏『青天有月』)の論理構造を、「28京大~比較」のページにアップしました。いわゆる「随筆」のジャンルに分けている予備校もありますが、後半を読んでいくと筆者の思索の深まりに伴った「現在VS過去」「想像VS事実(現実)」という「評論スキーマ」構造があります。

 近日中に小問解説もアップ予定です。

2016年11月21日(月)14:25
 当サイトでは、大学の過去問の問題に関して、高校生の皆さんの便宜を図るつもりでURLのボタンを設定しています。

 次は、どの大学の問題を解説しようかと思案中ですが、簡単な随筆なのでやっていなかった28年度京都大の国語一問目(出典:松浦寿輝氏『青天有月』)辺りかな。随筆は、筆者の主観に沿って「事実」と「意見」を交互に並べて述べるのが特徴ですから、そこに着目して解説しようと思っています。

2016年11月21日(月)11:12
 演繹的思考による推論

 本サイトでは、評論問題を扱って、全体の論理構造を示しながら「評論スキーマ」を身に付けてもらおうとしています。

「スキーマ」という一般的な枠組み的知識によって物事の認知を深めていくというのは、誰しもが日常的に営む「演繹的思考による推論」という認知活動です。自分が獲得した一般的な理論によって、身の回りの具体的で特殊なものを推論しながら、その理解を深めていくしていくということです。

 入試評論は素材文の全体の論理構造を明らかにしていくということを主たる目的として作成されていますから、実際に国立二次の記述問題を分析していくと、自ずと同じ論理構造をもっていることが分かります。

 したがって、「評論スキーマ」という一般的な枠組みを前提にして各大学の評論文を読んでいくと、個々の問題の論理構造がいち早く明らかになり、個々の課題(各小問)も説明できていくということです。

 現在、28年度入試を中心にした10本を超える評論文の解説を本サイトでは掲載していますが、これだけの本数を読み込んでもらえば、その後は、入試評論の読解に不可欠な「演繹的思考による推論」が、高校生の皆さんもきっとできるようになっていると思います。

2016年11月19日(金)21:50
 世の中は狭いなあ。

 平成26年度の東大二次評論は、東大医学部を卒業された藤山直樹氏の『落語家の国の精神分析』(みすず書房刊)からの抜粋でした。本サイトでは、精神分析家であり上智大学の教授である藤山氏の書かれた文章の一部が、26年度東大二次評論として出題されましたので、本講座では「26/27東大、28一橋大」のページに論理構造図を示しながら、分析と問題解説をしました。

そこでは静止画像としての全体の論理構造図ですが、私が実際に2年前に行った高校の授業では、パワーポイントのアニメーションを用いながら、小問ごとに解説を加えながら説明しました。その際に用いたプレゼン資料を、参考に下に示してみます。このプレゼンの各シートを用いて授業がどのように行われたかは、「26/27東大、28一橋大」のページの解説をしっかり読んでいただいた高校生の皆さんには容易に想像できるでしょう。
 
 クリックすれば拡大できますが、本サイトを読んでもらう以上に、本当は実際の授業を通して皆さんの反応を見たり質問を受けたりしながら、問題の解法を肉声でお教えするのが一番なんですけど、ウェブ上に公開するのも、全国の多数の高校生の皆さんの役にも立てますね。

 高校の授業で地道に授業をしてらっしゃる先生方の話にしっかりと耳を傾けるのに加えて、この講座で「評論スキーマ」を足場かけにして、「なーんだ、入試評論って、そう難しくもないなあ」と、是非とも皆さんには実感してほしいものです。だって、現代文は他の教科と違って、答えは「目の前の文章のなかに全てある」のですから。画像をクリック(タッチ)すると拡大!


2016年11月17日(木)17:04
画像集を整理して更新しました。各ページで用いた全体の論理構造図や小問解説用の図にタイトルもつけて、使い勝手を良くしています。是非とも、活用してください。

各大学の問題文と論理構造図を対照させて読むだけで、これまでの皆さんの読みがガラリと変わってくるはずです。常に「評論スキーマ」で全体の論理構造を作り上げようという意識が生まれ、結果的に、どの小問にも対応が可能となってきます。

2016年11月14日(月)14:55
平成28年度一橋大学国語の大問一「評論」、小問の解説や正答例までアップしました。

読解記述問題は「問い三」「問い四」の二つだけですが、どちらも全体の論理構造を踏まえた答を求めています。
ですから、東京大や大阪大学、東北大、京都大など、全体の論理構造を問う記述問題を必ず出題する大学を受験する高校生にとって、「評論スキーマ」という二項対立の論理構造を土台として評論読解するための、絶好の良い練習問題になると思います。

2016年11月11日(金)10:30
平成28年度の一橋大学国語大問一(出典:長谷正人氏『大量消費社会とパーソナル文化』)の全体の論理構造図をアップしました。解説などは現在、作成中なので数日中にはご覧になれます。

論理構造は、「物と心」「オフィシャルとパーソナル」の二項対立軸が交差するシンプルで分かりやすくいレベル。
同年度の東京大学やその他の旧帝大系の評論同様に、「評論スキーマ」を前提にした二項対立の観点から整理して構造化が図れるものです。国公立二次国語の記述式問題を受験する皆さん、この問題にも目を通しておいてください。

ところで、世界中の話題はアメリカ次期大統領が大方の予想を裏切ってトランプ氏になったことです、ほんとに驚きです。

大学受験を控えた高校生3年生や浪人している皆さんは、いよいよ11月に入って本格的に受験勉強邁進という時期ですね。得意不得意に関わらず、多くの教科科目を同時進行でやらないといけないというのは、ほんとに大変です。そのなかでも現代文だけは気にはなりつつも、いつの間にか後回しになってしまっている科目でしょう。

それというのも、現代文(特に評論)は、自分が受験する大学の過去問をいくらやってみても、その結果として自分にどれ位の読解力や記述力が付いたのかが実感できないまま、「取りあえずやってみたから、きっと何かが身に付いたのは確かじゃないのかなあ・・・?」といった曖昧模糊とした後味のあまりよくないもので終わってしまっているからでしょう。

この講座で常に示している全体の論理構造図を右に問題文を左に並べておいて、ただ左右を見比べながら読んでみるだけでも読後感が変わり、評論問題を解く際に不可欠な「評論スキーマ」が次第に見えてくるはずです。

高校3年生の皆さん、残すところ2,3か月です。「答はいつも目の前にある」という簡単な現代文で点を取りこぼすことのないよう「評論スキーマ」を身に付けてください。


2016年11月3日(木)11:30
平成28年度の大阪大学評論第2問目をアップして一週間、全体の論理構造を必ず問う東京大学評論問題の最終小問(五)とは問い方の違いがあっても、問題文全体を俯瞰的に見通して論理構造の全体像を正しく把握しながら、設問の趣旨に沿った解答を作成することが求められる問題でした。

京都大学も同じように全体の論理構造を踏まえた問い方をしてますが、出題する評論文自体の難易度は高校2年生の教科書レベルであり、どの受験生にとっても本文を読みこなすのにあまり苦労しません。

2016年10月27日(木)16:10
平成28年度大阪大学二次国語の評論問題第2問目を、設問該当箇所図の修正とあわせて、全体構造の説明と各小問の解説を新たにアップしました。

大阪大学第1問目の小問四と同じく、第2問目の小問四も、本文中には直接言及されていない情報(明示されていない情報)を、二項対立的な論理構造を想定しながら読むといった「評論スキーマ」による推論の力で見出していく、つまりは、全体の論理構造の中で、消費者マインドに支配された「現代の若者」と学ぶ能力をもった「弟子」の対比から、小問四の設問の趣旨を理解するという高次の論理的思考力が求められる問題でした。

他の国公立大学二次試験の記述問題を受験する人たちには、「評論スキーマ」の獲得に向けた良い教材となるでしょう。

2016年10月22日(土)23:55
平成28年度大阪大学二次国語の評論問題第2問目(出典:内田樹氏『街場の戦争論』)の論理構造と設問該当箇所図をアップしました。それぞれの図表の解説は後日。

2016年10月17日(月)21:15
2020年からのセンター入試廃止に伴って実施される新テスト(大学入学希望者向けや基礎問題などと呼ばれるテスト)を予想すると、新テストで用いられる国語の問題文自体は現在のセンター入試より明らかに読みやすくなる傾向があります。勿論、センター入試とは出題の意図や趣旨がやや異なるので、問題への慣れが必要なのは言うまでもありませんが。

東京や千葉など関東からのアクセスが多かったのですが、今週は宮城県など東北各県から本サイトへの訪問者が増えてきたようです。東北の高校生諸君にも、本サイトが少しでも役に立つことを願っています。

今週の大学の講義が終われば、一橋大学の過去問を用いた「評論スキーマ」の話を追加しないといけないと自らを鼓舞しているところです。次の更新をお待ちください。

●2016年10月13日(木)10:15
平成28年度名古屋大学の論理構造・小問解説を、更新してアップしました。

大学の講義や顧問をしている民間会社の仕事がさばけなくて更新が遅くなってしまいましたが、まさに「評論スキーマ」でサクサクっと満点が狙えるレベルの問題でした。

いつも言ってますが、自分の受験する大学の過去問しか興味がないという料簡の狭い考えでは、評論に表された論理的思考のプロセスを理解する力は育ちませんし、「評論スキーマ」も身に付きません。

せめて本講座に取り上げた各大学の過去問ぐらいは目を通しておきましょう。

●2016年10月6日(木)10:15
台風18号により、市内の小中高は休校。講義を受け持つ大学も全学休講措置でしたので、平成28年度の名古屋大学評論を斜め読みしてました。

理系の一部受験者(理学部・医学部)も対象にした問題ですから、論理構造も一読で見えてくるものを出題してます。取り敢えず、全体の論理構造だけアップしていきます。小問解説は近いうちに。

●2016年10月4日(火)16:05
「子どもたちの反応を見ている中で、『このサイトではすべて二項対立で整理してあるよ』ということを明示し、そのメソッド自体についても解説していただけると、更に学びが深まるのでは?」というS君からの助言、更新の際の参考にしていきます。

 

●2016年10月3日(月)19:10
左の図をクリック(タッチ)して拡大してみてください。中学生や高校1年生に「論理的な思考」を簡単にわかってもらうときに使っています。

成人(男)として「ボク」の身長は高いほうなのか低いほうなのかを質問してみると、「低いほうかな?」「高くはないと思う!」などなど、色んな答えが返ってきます。

生徒たちは、身長という観点から「ボク」を評価しているということなんですけど、このプレゼンを見ながら、「みんなの頭の中で起こっている情報の処理のプロセス」や「スキーマ」の話をした後に、本講座の「評論スキーマ」へと進んでいきます。つまり、「評論スキーマ」講座に入る前の「足場かけ」ということですね。

●2016年10月3日(月)9:00
一週間前に、大阪大学二次評論をアップしたところ、大阪府在住の高校生か先生方のアクセスが急増しました。反響があるというのは嬉しいことです。

この講座は、高校生を始めとした生徒諸君が無料で自由に閲覧し、受験のテクニックもさることながら、実社会で必要な論理的思考力や表現力の向上を目指すためのサイトです。

塾や予備校など営利目的での無断転載等の使用はできません。

次は、名古屋大学の(随筆風)評論をアップする予定です。

●2016年10月1日(土)02:20
平成28年度東北大学二次国語の評論問題、解説をアップしました。

全体の論理構造も改訂しています。例年通り、東大、大阪大、東北大は、受験生が全体の論理構造を理解できているかを必ず問うています。その意味では、高い次元での論理的な思考力と表現力を受験生に求めています。

●2016年9月29日(木)14:00
平成28年度九州大学二次国語の「大問二」をアップしました。

九大評論問題は、論理構造の全体像をあまり問いませんが、その分、小問での細かい類推問題が多い傾向があります。「スキーマ」による二項対立の論理構造を念頭に、問題文を丹念に構造化しながら読みましょう。

●2016年9月28日(水)19:15
S先生、本講座の誤字脱字のご連絡いただき、ありがとうございました。早速、訂正しました。

●2016年9月27年(火)16:00
問題の作問技術を高める会合で「予備校の模範解答はかなり衒学的だよね」。模範解答そのものが、高校生にとっては問題文を読む以上に「難問」であるのは、確かです。この講座では、高校生を始めとする受験生の実態に即して、問題文の論理構造をシンプルに表現した解答例を示すつもり。

●2016年9月27日(火)15:20

サイトタイトルのバックは、スペインのサグラダファミリア内の画像です。外観とは全く印象の異なる内部。未だに工事中ですが、まさに評論の論理構造を構築しようとする高校生の思考のプロセスそのもののイメージです。写真をクリック(タッチ)すると拡大!

●2016年9月25日(日)17:25
平成28年度の大阪大学二次国語の評論文解説をアップしました。

●2016年9月23日(金)20:50
今日は、昨年、現代文の読み方を楽しく教えた高校生2人と、半年振りに会ってきました。彼らも、もう三年生。いよいよ受験まで最後の踏ん張りどころです。 旧帝大だけでなく、近いうちに一橋大学の過去問もアップしますね。現代文のうちの一つは随筆風の文章を要約する問題、文章全体を評論スキーマで構造化してしまえば、200字内でうまくまとめられるよ!

●2016年9月22日(木)13:42
28年度東北大の評論問題「全体の論理構造」を、「(阪大、東北大などその他)」のページにアップしました。

●2016年9月20日(火) 12:27
「問題文のポイントを的確に押さえて、一読して意味のわかりやすい答案を作ろう、そうしないと大きく減点されます」などとよく言われますが、
この「ポイントを的確に押さえる」というのが高校生にとっては難しい。過去の評論問題を用いて解説されても、どの評論問題にも通用する「枠組み的知識」、つまり「スキーマ」という構造的概念を目に見える形で指導してもらわないと、次に解く現代文評論や英語の長文問題の「記述のポイント」を自分で分かるような力にはなっていかない。

この「記述のポイント」こそ、認知的には文章の論理構造を成り立たせている「対立的要素」や「価値体系軸」であって、それが、入試の評論問題の記述ではそのまま採点の基準となっている。

●2016年9月18(日)22:36
「京大、九大」に掲載の28年度「九大評論」にも正答例を加えて、更新しました。

●2016年9月18日(日)14:55
「京大、九大」に掲載の28年度「京大評論」にも正答例を追加して、更新しました。

●2016年9月18日(日)13:30
「スキーマと評論(東大)」や「東大評論」に掲載の「東大二次試験評論」、28年度/26年度/27年度における小問解説に加えて、正答例も追加しています。

 東大としては標準的なレベルの26年度ですが、小問3の求める答が問題文の読み取りづらさからか、厄介な気がします。でも、表現上の読み取りづらさを感じたときは、その言葉の森の中に迷い込んでしまう前に、評論スキーマを今一度思い起しましょう。 両極にある対立的な要素をしっかり押さえれば、その後は、そのシンプルな論理構造を解答欄に文章として書き込むだけ。それで、十分に得点できます。

●2016年9月17日(土)
ウェブサイトをアップして一週間、その間、多くの反響がありました。 

 やはり、高校生にとって現代文はまさに「ブラックボックス」だったようです。「その1」のコラム「評論スキーマという足場かけ」でも書きましたが、このサイトを読んでくれた沢山の高校生の皆さんが、評論を読解するための足場ができたと実感できたみたいです。 
 
 アップ当初、各大学の設問解説では、本文の全体の論理構造のうち、各小問が答として求める箇所を丸囲みして解説していましたが、各小問ごとに「正答例」があれば、「もっと勉強しやすくなるんだけどな」と多くの高校生から要望がありました。 

 よく読んでくれているなと嬉しく思いつつ、確かに、読み取った構造を文章化していく「見本」があったほうが良いと思うのは、高校生だったら当然かな。 

 ということで、まずは「東大二次試験 28年度の評論」から、小問ごとの正答案を青ゴシックで追加しました。記述式問題の採点は、論理の構造を骨格を成す要素が答案にきっちり書き込まれているかが基準になりますから、正答案と図表の丸囲みの構造を見比べて、文章化する要領をつかんでください。 
東大二次試験の26年度、27年度や京大、九大も順次更新する予定です。